はじめに
豊田真由子衆院議員による、「この、ハゲ―――っ!」パワハラ発言が発覚した翌日に、またも頭部にまつわるパワハラが発覚しました。部下の頭部にあんかけをかけるなどのパワハラを繰り返していたとして、福島県警本部は36歳の警部補を昨日懲戒処分しました。当該警部補は、部下に対し、バリカンで丸刈りにしていたともいいます。いずれにせよ、このような上司の前ではヘルメットが必要です。
同警部補は、同日依願退職しています。どんなあんかけ料理をかけたのか知りませんが、日本経済新聞は「冷めたあんかけ」と報道しています。やけどの危険はないものの、あんかけが目に入ったりすると危険です。特に、ピリ辛系のあんかけだったらもっと危険です。
相次ぐ警察官によるパワハラ行為
警察官によるパワハラは、愛知県警でも起きています。愛知県警では、上司から腕立て伏せを命ぜられたり、暴言や殴る蹴るなどの暴行を受けたりするなどのパワハラを受け、2010年11月、当時24歳の男性巡査が拳銃自殺に至っています。
滋賀県警ではセクハラ事例も
滋賀県警では、男性巡査長らが女性警官にロメロスペシャルというプロレス技を掛け減給処分を受けています。50代の警部補は、技掛けの様子を写真撮影していたともいいます。
頭部にあんかけ、丸刈り、腕立て伏せ、プロレス技…。どれをとっても体にまつわるパワハラ・セクハラです。警察では、どうしてこのようなことが繰り返されるのでしょうか。
近年職場のいじめ・嫌がらせが急激に増えている
暴力的なパワハラに関しては、警察以外でも発生しています。豊田真由子議員のケースもそうですし、会社でも起きています。ブリヂストンでは、タイヤ工場で上司が部下にタイヤを投げつけ怪我をさせるというパワハラが発生しています。
平成29年6月16日、厚生労働省は「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。民事上の個別労働紛争相談件数の内訳のうち、「いじめ・嫌がらせ」の相談が1位であり、その件数も70,917件と過去最多となっています。また、過去10年間の件数推移を見ると、年々増加傾向にあることがわかります。
まとめ
今回紹介した事例は、部下を適切に指導することに関して配慮のかけらも見られません。このような上司にそれ以上ついていっても、何一つ得ることは無いでしょう。しかし、近年、職場のいじめ・嫌がらせの相談件数が急増したのは、上記のような暴行・傷害事件にも相当し得る異常性を帯びたパワハラが増えたことだけが理由でしょうか。筆者は、そうは思いません。
もし、上記のような異常性を帯びたパワハラが近年一気に数万件も増加したのであれば、新聞の紙面がいくつあっても足りません。筆者は、職場いじめ・嫌がらせの相談事例が急激に増えた要因には、時代背景もあると考えています。
バブル崩壊以前までは多くの企業は成長軌道にあり、終身雇用が当然のように信じられてきたため、将来に対する明確なキャリアデザインを描くことができました。かつてのサラリーマンは、「ここで我慢さえしていればいずれ上司のような地位に付ける」と将来に対して希望が持てたのではないでしょうか。
しかし今、終身雇用は事実上形骸化しています。そのため、同じ企業に勤め続けたとしても、明確なキャリアデザインを描くことはできず、企業に対する帰属意識が希薄化しています。上司の側も、部下に対して同じ職場で勤め続けることを前提に考えていないかもしれません。
パワハラに耐えても何の価値も無いことに皆が気付き始めていることが、近年の相談件数の急増に繋がっているのではないでしょうか。