はじめに
関電高浜原発のクレーン事故については、以前次のような記事を書きました。
あれからどうなったのかと気になっていましたが、先日、次のような報道がありました。
事故当時の関電の発表によると「暴風警報が発令されていて風も原因の一つ」とのことでしたが、今頃になって元請けの大成建設がその暴風警報自体を把握していなかったことが判明しました。冬の日本海沿岸でどんな強風が吹くかもわからないのに、よく調べもせずにクレーンを伸ばしたまま核燃料のある建物の隣に放置していたとは驚きです。
暴風時のクレーンの取り扱いについて
以前記事でも述べましたが、つり上げ荷重3トン以上の移動式クレーンは、労働安全衛生法施行令12条の規定により特定機械に指定されています。特に危険な作業を必要とする機械のため、別途「クレーン安全規則」という規定を設けて取り締まりを行っています。
福井地方気象台は事故当日、暴風警報を発令し、最大瞬間風速を毎秒35メートルと予報していたそうです。なお、「クレーン安全規則」では、瞬間風速が毎秒30メートルをこえる風のことを暴風と定義しています。
(暴風時における逸走の防止)
第三十一条 事業者は、瞬間風速が毎秒三十メートルをこえる風が吹くおそれのあるときは、屋外に設置されている走行クレーンについて、逸走防止装置を作用させる等その逸走を防止するための措置を講じなければならない。
一般社団法人日本クレーン協会は、暴風時においては、移動式クレーンのタワージブを閉じておくよう推奨しています。大成建設は「天気予報に注意を払わず、重大事故を起こした。深くおわびします」とコメントしているそうですが、一歩間違ったら過酷事故に至っていたと思います。関係当局も、徹底的に事故の原因究明を急いでもらいたいと思います。