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クレーン倒壊、労基署が調査着手 関西電力高浜原発で

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はじめに

 場所が場所だけに、とても恐ろしい事故ですよね。今月20日、関西電力高浜原発大型クレーンの倒壊事故が起きました。

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*写真は事故現場と無関係です

 関西電力の発表によると、クレーンは原子炉補助建屋と燃料取扱建屋というところに倒れ、両建屋の屋根の一部が変形したそうです。事故当時暴風警報が発令されていて、「風も原因の一つ」と認めています。事故当時、作業自体は行われておらず、けが人が無かったことが不幸中の幸いですが、もし燃料取扱建屋の屋根を突っ切ってクレーンが落下していたらと思うとぞっとしますね。福井新聞によると、事故翌日の21日に、敦賀労働基準監督署が調査のため倒壊現場を訪れたそうです。 

労働安全衛生法はクレーンの取扱いをどのように規定しているか

 ところで、労働基準監督署では、労働基準法のほかに労働安全衛生法に基づく監督・指導も行っています。労働安全衛生法施行令12条は、特に危険な作業を必要とする機械等(特定機械等)を定めています。

 ちなみに、つり上げ荷重3トン以上の移動式クレーンについては、特定機械に指定されています。これら特定機械については、安全性確保のため別途安全規則を設けて、製造・設置・使用・検査等について規制しています。移動式クレーンについては、クレーン等安全規則に詳細な規定があります。この中に、次のような条文があります。

(強風時における転倒の防止)
第七十四条の四  事業者は、前条の規定により作業を中止した場合であつて移動式クレーンが転倒するおそれのあるときは、当該移動式クレーンのジブの位置を固定させる等により移動式クレーンの転倒による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。  

 今回は、下線の部分がどうなっていたかが論点になると思います。

まとめ

 一般社団法人日本クレーン協会のホームページに、強風時の移動式クレーンの取り扱いについての記述がありました。これを読むと、強風時のクレーンの取り扱いがいかに危険なことかよくわかります。近くに核燃料があるような特に危険な場所において、暴風警報が発令されるような特に危険な環境で、特に危険な作業を必要とする機械を扱うのであれば、ちゃんとした安全対策が必要なのではないでしょうか。