Mesoscopic Systems

働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

この暑苦しい中、「クールジャパン機構でセクハラか」との報道

f:id:mesoscopic:20170705033950j:plain

はじめに

経済産業省所管の官民ファンド、クールジャパン機構でセクハラ被害の疑いがかかっています。

複数の女性社員が、同機構の専務取締役から「得体のしれないくじ」を引かされ、くじの内容の遂行を求められたといいます。

このくじには、「当たり!!ワインディナーwith〇〇(交換不可)」「ハズレ!!罰ゲーム:手作りプレゼント」などと書かれてありました。

筆者には、どちらもハズレのように映るのですが…

また、2015年夏、複数の女性社員が、経産省から出向してきたキャリア官僚で当時の専務執行役員から、太ももを触られるセクハラがあったと訴えています。

セクハラに該当するのはもちろん、クールなんとかの幹部にそんなことをされた日には、暑苦しくて仕方がなかったでしょう。

セクハラ行為には使用者責任が問われる場合もある

セクハラ行為が行われた場合、行為者が不法行為の責任を問われることはもちろんのことです。

今回の場合は、使用者たるクールジャパン機構の役員自身が行為に及んだと疑いがかけられています。

一方、行為者が従業員である場合も、使用者や会社そのものがその責任を問われる場合もあります。

その法的根拠は、平成20年3月に施行された労働契約法の中の次の条文です。

労働契約法5条  

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

法5条は、いわゆる使用者の安全配慮義務の規定です。

使用者は、労働者に安全かつ快適な就業環境を確保する労働契約上の義務があり、そのために必要な配慮をしなければならないとするものであり、「安全かつ快適な就業環境」には、当然、「セクハラの無い環境」も含まれます。

したがって、もしセクハラ事件が発生した場合は、安全配慮義務を怠ったとして、債務不履行に基づく使用者責任が発生する可能性があります。

使用者責任の存否については、個別の事案に基づき主張・立証を要するものですが、おおむね次の観点から判断されます。

  1. 当該セクハラが事業の執行について行われたか否か
  2. 事前措置を適正に施していたか(相談窓口の整備など)
  3. 事後措置を適正に行ったかどうか(行為者の謝罪・再発防止措置の整備など)

しかし、今回のように、使用者自身が行為に及んでしまったとすれば、使用者責任が問われるのは当たり前です。

勤務時間外のセクハラはどのように扱われるべきか?

ところで、報道によると、同機構専務執行役員による太もも触りセクハラ事件は、歓迎会の2次会で発生したと被害者が訴えています。

このように、勤務時間外におけるセクハラ行為はどのように扱われるでしょうか?

会社内外を問わず、また、勤務時間内外を問わず、セクハラ行為に及んだ者が不法行為を構成することは明らかです。

およそ、セクハラ行為が発生する典型的なシチュエーションは、酒宴の席が多いでしょう。

このように会社外あるいは勤務時間外にセクハラ行為が発生した場合、果たして使用者にまで責任が及ぶでしょうか?

今回のクールジャパン機構の場合、使用者自身の行為そのものが問題になっているので、議論の余地がありませんが、一般従業者によるセクハラ行為の場合はどうでしょうか?

歓送迎会や忘年会、職場旅行など職場ぐるみの参加が期待されるようなものであれば、使用者責任が問われる可能性が高くなります。

また、はじめは公的な性質を帯びたものであっても、2次会・3次会と私的な性質を強めるにしたがって、使用者責任が認められにくくなる傾向もあります。

しかし、3次会後のセクハラ行為について使用者責任を認めた事例も存在します。

マヨネーズ等製造会社事件(東京地判 平15.6.6)

まとめ

筆者は、クールジャパン機構というところを正直知りませんでした。

日本の魅力ある商品やサービスを世界に売り込むために2013年に設立された経済産業省所管の政府系ファンドだそうです。

それを売り込む側の幹部がセクハラなどを行ってしまったら、せっかくの魅力ある商品やサービスであっても、そのブランドイメージが大いに棄損されるのは間違いなしでしょう。

 

それにしても、日本の魅力ある商品を世界に売り込む組織の幹部が、ワインディナーはないでしょ(日本食だったら許されるという話ではありませんが)。