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ブラック企業の検証(5):使用者が労基署に自首をして書類送検された珍しい例

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はじめに

今回は、「労働基準法違反の送検事例をもとに、ブラック企業を検証しその対策を考える」の第5回目です。

第3回ワタミ隠し判別テストも行ないます。

事件の概要

書類送検された企業:

㈱博運社(運輸業)(福岡県福岡市)

≪平成28年12月1日送検≫

  • 労働者が平成27年10月に運転中に脳梗塞を発症

  • 事業者自らが「労働者に長時間労働をさせてしまった」と労基署に申告

  • これを受け労基署が調査し、36協定違反の長時間労働が発覚した

(労働基準法32条違反)

 参照元: 労働新聞社 https://www.rodo.co.jp/column/9354/

検証

労働基準法104条では使用者に違反があった場合、労働者が労基署に申告することを権利として認めています。

しかし、使用者が労基署に申告というのは聞いたことがありません。

記事には申告とありますが、この場合、自首と言ったほうが適切かもしれません。

36協定違反やサービス残業の発覚を逃れるため、使用者があの手この手で労働者に労働時間の過少申告を求める事例が多い中、今回はとても珍しい事例ですね。

36協定における限度時間の適用除外

前回の記事で、36協定の大まかな仕組みについて述べました。 

www.mesoscopical.com 

36協定では、厚生労働大臣が定める基準(以下限度時間と言う)があり、特別条項を付記しない限りこれを超える延長時間を設定してはならないという話でした。

しかし、ある事業や業務においてはこの限度時間の適用が除外されています。

これは、事業又は業務の性質上3か月以内の期間における時間外労働が限度時間の範囲に収まらないことを理由とした特別措置です。

では、具体的にどのようなものがあるかみてみましょう。

限度時間の適用が除外される事業または業務

  1. 工作物の建設等の事業
  2. 自動車の運転の業務
  3. 新技術、新商品等の研究開発の業務
  4. 厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(ただし、1年間の限度時間は適用される)

上記4つの場合、特別条項を締結しなくとも、限度時間を超える36協定の延長時間を設定することができます。 

今回の事例は、運転手に対する長時間労働についてなので、2に該当します。

記事によると過労死基準を超える98時間の延長時間を設定していたようです。

 事実上青天井の特別延長時間のほかに、この限度時間の適用除外の制度も長時間労働を誘発する恐れがあり、問題があると考えています。

しかも、特別延長時間は繁忙期に限るのに対し、この適用除外の制度は、恒常的に過労死基準を上回る時間の設定が原理的に可能なため、極めて問題です。

上記の事業あるいは業務に関係している方は特に注意してください。

第3回ワタミ隠し判別テスト

 今回は、就労の実態を労基署に自ら申告(自首)した結果、書類送検された企業についての話をしました。

一方で、ある飲食チェーン店舗において、どこが経営しているのか顧客にちゃんと申告しなかった結果、業績を回復した企業があります。

居酒屋チェーンのワタミです。

www.sankei.com

 賛否両論ありますが、ワタミと言う名称がブラックであるという覆い隠せないイメージがある以上、企業としては、ある意味当然の防衛策と言えるでしょう。

しかし、企業が予防線を張るのと同様に、顧客も予防線を張る権利を有しています。

というわけで、今回もワタミ隠し判別テストを行います。

 今回が3回目です。第1回と第2回については、次の記事をご覧ください。  

www.mesoscopical.com 

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第3回ワタミ隠し判別テスト

時代は塊、世界のワタミ!「憎」らしいほど美味いやつ、隠れ居酒屋界の「スタ」ーだぞ!

 

答えは脚注に示します。*1 

*1:にくスタ