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運送業者を書類送検:危ない機械を運転させるときは特別な教育が必要

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はじめに

今回は、「送検事例をもとに、ブラック企業を検証しその対策を考える」の第16回目です。

平成29年9月8日、魚津労働基準監督署は、特別教育をせずに機械を運転させたとして、一般貨物自動車運送業の㈲平和運輸と同社代表取締役を労働安全衛生法違反の疑いで富山地検魚津支部に書類送検しました。

事件の概要

書類送検された企業:

㈲平和運輸(富山県射水市)

≪平成29年9月8日送検≫

  • 平成29年2月11日、同社労働者がローラーをトラックに積み込むため運転していたところ、ローラーとともにトラックの荷台から転落、死亡する労働災害が発生した。
  • 同社は、ローラーの運転に必要になる法定の特別教育を行っていなかった。

(労働安全衛生法59条違反)

 参照元:労働新聞社 https://www.rodo.co.jp/column/32208/

危ない機械を運転させるときは特別な教育が必要

ローラーとは?

皆さんは、道路工事現場などで下の写真のような車両を見たことはありませんか?アスファルト表面をきれいに押し固めるための機械でローラーといいます。

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搭乗型振動ローラ(コベルコ建機㈱ホームページより)

ローラーは、「締固め用機械」とも呼ばれています。

写真を見れば、いかにも特殊な機械であることは明らかですが、法律上も、労働者にこれをいきなり運転させてはいけないことになっています。

ローラーを運転する業務に労働者をつかせるときは、安全・衛生のための特別の教育を行わなければならないとされています。

それは、次の根拠条文に依ります。

労働安全衛生法59条第3項

事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

 特別教育を必要とする業務は、労働安全衛生規則36条に詳しく規定されていますが、ローラーに関する部分は次の箇所です。

労働安全衛生規則36条第10号

令別表第七第四号に掲げる機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務

「道路上を走行させる運転を除く。」とあるのは、道路上の走行を行う場合、道路交通法の規定により大型特殊の免許がさらに必要となるためです。

令別表第七第四号に掲げる機械 とは次の通りです。

労働安全衛生法施行令別表第七 建設機械

四 締固め用機械

1 ローラー
2 1に掲げる機械に類するものとして厚生労働省令で定める機械

 ここで、始めて締固め用機械やローラーという言葉が出てきます。

つまり、動力を用いてローラーを不特定の場所に自走する業務の場合、厚生労働省令で定めるところにより、安全・衛生のための特別教育を行わなければなりません。

どんな教育を行うのか?

次の条文をご覧ください。

労働安全衛生規則39条

前二条及び第五百九十二条の七に定めるもののほか、第三十六条第一号から第十三号まで、第二十七号、第三十号から第三十六号まで、第三十九号及び第四十号に掲げる業務に係る特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。

このように、ローラーを不特定の場所に自走する業務については、特別教育の細目を厚生労働大臣が定めるとあります。具体的には、労働安全衛生規則39条の規程に基づき、安全衛生特別教育規程を定め、昭和四十七年十月一日から適用しています。

このうち、ローラーの運転の業務に係る特別教育については、安全衛生特別教育規程12条に見られます。

安全衛生特別教育規程12条

安衛則第三十六条第十号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行なうものとする。

2  前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行なうものとする。

3  第一項の実技教育は、ローラーの運転方法について四時間以上行なうものとする。

上記のようにローラーの運転業務に関する特別教育は、学科教育および4時間以上の実技教育の2種類からなっています。学科教育の具体的な中身は次の表の通りです。

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ローラーの運転業務に関する特別教育(学科)

ローラーの運転業務に係る特別教育は、コマツ・コベルコ建機・日本キャタピラー社など各メーカーの教習所などで行われています。

まとめ 

このように、事業者が労働者にローラーを運転させるときは、厚生労働大臣規定の特別教育を受講させる必要があります。

見るからに特殊な機械であり、駆動機構も普通の車とは全く異なるからです。

本来は、アスファルトの表面を押し固めるために使う機械ですが、トラックの荷台に積み込む際などは、予期せぬ暴走につながる可能性もあります。

ローラーに限らず、運転の業務に就く前に、厚生労働省で定める法定の特別教育を受講する必要がある業務がたくさんあります。

労働者も、いかにも特殊な機械を運転するよう使用者から命令されたら、まず、法定の特別教育を受講する必要があるかどうか使用者に確認してみましょう。