はじめに
これは、ブラック企業認定と言っても過言ではないでしょう。テレビ朝日が、障害者採用ページにnoindexタグを仕込んでいることがわかりました。Netgeekの記事から、この事実を知りました。
筆者もテレビ朝日の障害者採用ページのソースを見たところ、確かにnoindexタグが仕込まれていることを確認しました。一方、同社の新卒採用ページのソースには、noindexタグは仕込まれていませんでした。
noindexタグは、該当するページがGoogle検索に表示されないように、検索インデックス登録をブロックするために用いられるのもです。noindexタグをHTMLコードに挿入した場合、該当ページがGoogle検索結果から削除されます。
しかし、なるべく多くの人に均等な機会が提供されるべき「募集・採用ページ」において、noindexをわざわざ埋め込むことは通常考えられません。ましてや、新卒採用ページには同タグが埋め込まれず、障害者採用のみに同タグが埋め込まれているというのは、障害者を排除する確信的行為と疑われても仕方が無いでしょう。
実際に検索してみた
筆者は、Chromeを用い、テレビ朝日の採用ページを実際に検索してみました。
Google検索エンジンのテキストボックスに「テレビ朝日 障害者採用」と入力し、検索したところ、検索順位1位に、テレビ朝日の採用情報ページが表示されました。しかし、このページは、新卒採用・障害者採用・中途採用・関連グループ企業採用の全てを含む総合採用サイトであり、障害者採用ページではありません。障害者採用ページにnoindexタグを埋め込み、インデックスされないようにしているので、検索順位1位に同ページが表示されなかったわけです。検索順位2位以降をずっと辿っていっても、同社の障害者採用ページは全く表示されませんでした。代わりに、テレビ朝日による「noindexタグ埋め込み問題」に関する記事がたくさん表示されていました。
その一方、Google検索エンジンのテキストボックスに、「テレビ朝日 新卒採用」と入力し、検索したところ、検索順位1位に、テレビ朝日の新卒採用ページが直接表示されました。新卒採用ページにはnoindexタグが埋め込まれていないので、予想通りと言えば予想通りです。
総合採用サイトをランディングページとして、内部リンクをたどっていけば、障害者採用ページに到達できなくはありませんが、TV朝日は、なぜ、障害者の方にだけわざわざこんな回り道を余儀なくさせるのでしょうか。
法律に違反する可能性もある
テレビ朝日が、明確な意図をもって障害者採用ページにのみnoindexタグを仕込んだのであれば、法律に違反する可能性があります。根拠となる法律は、障害者雇用促進法です。
障害者雇用促進法34条に次のような条文があります。
障害者雇用促進法34条
事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。
募集・採用ページにおいて、障害者採用ページのみにnoindexタグを仕込み、新卒採用ページにはnoindexタグを仕込まないという行為は、同条に違反する可能性があります。なぜなら、内部リンクを辿らなかった場合、同社の障害者採用ページの存在を見落とす可能性があるからです。
障害者求人は、障害者のみを対象とする求人です。その求人が書かれたページのみにnoindexタグを仕込み、なるべく多くの人の目に触れさせないようにする行為は、障害者でない者との均等な機会が与えられているとは到底言えません。
まとめ
最近、中央省庁による障害者雇用の水増し問題が取り沙汰されています。障害者雇用に関しては、障害者雇用促進法によって、障害者雇用率が規定されています。
障害者雇用率制度は、従業員の一定割合以上の障害者の雇用を事業主に義務付ける制度のことで、国・地方公共団体の障害者雇用率は2.5%です。例えば、ある省庁の常時雇用する労働者が1,000人であれば、25人以上の障害者を雇用する義務があります。因みに、民間企業の場合の障害者雇用率は、2.2%です。平成30年4月1日に、改正障害者雇用促進法の一部施行に伴い、それぞれ、0.2%ずつ障害者雇用率が引き上げられました。
今回の問題は、多くの中央省庁において、死亡した職員を障害者として算入するなどして法定の雇用率を意図的に水増ししていたとするものです。
厚生労働省においてさすがに水増しは無かったようですが、民間企業に先駆けてリーダーシップを発揮すべき中央省庁がこのような問題を引き起こしていたのは問題です。
今回のテレビ朝日の一件は、障害者を直接的に排除するものと疑われても仕方が無い行為であり、もっと問題です。テレビ朝日は、速やかにこの問題について、報じるべきでしょうし、同社ホームページ上でも、この事実に対する見解を示すべきでしょう。
ただし、その見解が示されたページがちゃんとGoogle検索で表示されるように、同ページにnoindexを仕込むのはやめてくださいね。