はじめに
昨日、24時間テレビのチャリティーマラソンについて論じました。
24時間芸能人を走らせ、肉体の限りを尽くしゴール地点に到達するさまを賛美するというのは、精神論の発揚に繋がり、ひいては、ブラック労働を誘発する恐れがあるというのが筆者の見解です。また、24時間ただひたすら人が走っている姿を、何台もの中継車で中継するのは、無駄な化石燃料を燃焼させ、決して地球を救っていることにならないというのが筆者の主張です。
1970年代に始まった番組を、毎年、相も変わらず重厚長大に制作し続けているようでは、若者のテレビ離れに拍車をかけ、テレビ業界が次第に斜陽化していくのも、ある意味必然と言えるでしょう。
総務省が提示したテレビ業界斜陽化の決定的証拠
総務省の情報通信政策研究所などが実施した調査によって、平成28年の平日1日当たりのテレビ利用時間(リアルタイム)が全世代平均で前年より6.3分減ったことがわかりました。とりわけ20代の減少が著しく(同15.2分減)、若者のテレビ離れが浮き彫りになりました。
下の図は、10代および20代のテレビ(リアルタイム視聴)とインターネットの行為者率および平均利用時間です。左(赤色)がテレビ、右(青色)がインターネットです。
(出所:総務省 情報通信政策研究所)
10代、20代ともに、テレビ利用時間が前年比で減少していることが分かります。また、行為者率も年々減少傾向にあります。20代に至っては、平成24年と比べて8%以上も減少しています。一方、インターネットに関しては、利用時間が増加傾向にあります。行為者率は、過去5年間全てにおいて、インターネットがテレビを上回っています。
下の図は、30代のテレビとインターネットの行為者率および平均利用時間です。
出所:総務省 情報通信政策研究所
30代の行為者率は、平成25年に逆転し、インターネットがテレビを上回りました。テレビ利用時間は、年々減少傾向にあるのに対し、インターネット利用時間は年々増加傾向にあります。30代のインターネット利用時間の増加は特に著しく、平成24年に比べ、39分近く増加しています。
以上をまとめると、10代、20代、30代いずれもが、インターネットの行為者率の方が高く、テレビの行為者率は年々減少傾向にあることがわかります。また、利用時間はテレビが減少傾向にあるのに対し、インターネットが増加傾向にあることがわかります。若者を中心に、テレビ業界がどんどん斜陽化していく様子が見て取れます。
インターネットについて
下の図は、インターネット利用時間の機器別の内訳です。
(出所:総務省 情報通信政策研究所)
全年代では、モバイルネットの利用時間がもっとも長くなっています。この傾向は、若年層ほど著しく、特に20代は、モバイルネットの平均利用時間(平日)が2時間を超えています。
下の図は、ソーシャルメディアの利用率です。
(出所:総務省 情報通信政策研究所)
どの年代とも、利用率が最も高い傾向にあるのは、You TubeとLineです。ニコニコ動画も若者を中心に利用率が高い傾向にあります。
若者のテレビ離れについて
インターネットが普及している理由
若者のテレビ離れが進行していることは、何となく感覚的にはわかっていましたが、このようにグラフで視覚的に示されると、それが深刻であることを改めて確認できます。
1つは、スマホの普及により動画がいつでもどこでも気軽に観られるようになったこと、そしてもう1つは、You Tubeやニコニコ動画など動画配信サービスの配信内容が若者のニーズに合致していることが理由として考えられます。
テレビが若者から見放された理由
一方、テレビはどうでしょうか。
テレビ放送事業は、高度経済成長期にテレビの普及に伴って発展していった重厚長大産業です。番組制作にもたいへんお金がかかります。したがって、番組スポンサーの意向を忖度した偏向報道がなされることがあります。
テレビの信用が完全に失墜したのは、福島原発事故の報道です。事故当時、福島原発の爆発を、「爆破弁を開いたから」と平気でのたまう御用学者をテレビ局が無批判に出演させていたのを筆者は記憶しています。(下記動画で確認できます。)
今は、「爆破弁」の存在を肯定する人は誰もいないでしょうが、当時は、大混乱に陥る中その御用学者の発言を信じてしまった視聴者も多かったのではないでしょうか。あのときはむしろ、インターネットの方が信用に足る情報がいくつもなされていたことを記憶しています。事業者に何ら忖度する必要が無いからです。
まとめ
現在は、働き方改革が進行中ですが、テレビの報道内容の編集権をどういう立場の人が握っているかについて想像する必要があります。テレビであれ新聞であれ、視聴者や読者がもっとリテラシーを身に付けると、内容の本質に迫ることができて面白くなると思います。