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働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

サビ残を試みた北海道新聞が高プロを残業代ゼロと言うのはやめよう

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はじめに

 高プロに関するマスコミ論調には辟易とします。その最たる例が次の記事です。 

www.hokkaido-np.co.jp

 ジムだろうがグフだろうがザクだろうがどれでもいいでしょう。同記事は、連合ホームページに、「1億総活躍より1億総安心労働社会を!」という記載があることを紹介しています。筆者はてっきり「給料過払い中高年ダラダラ残業パラダイスの実現を!」だと思っていました。連合は、1億総安心労働社会の実現のためにどの労働者とも真摯に向き合ってきたと胸を張って言えるでしょうか。1億総安心労働社会の実現に取り組んでいない実例を下記に示します。 

www.mesoscopical.com 

www.mesoscopical.com

「高プロ=残業代ゼロ」という等式は成立しない

 そもそも新聞が、高プロを盛り込んだ労働基準法改正案を「残業代ゼロ法案」と表現してはいけません。法解釈が誤っているからです。高度プロフェッショナル制度は、法律的に言って「残業代ゼロ」ではありません。「残業という概念がそもそも存在しない」というのが正しい表現です。 

www.mesoscopical.com

 高プロを「脱時間給」と言い換えるのなら、立法趣旨に適った正しい表現です。高プロを「残業代云々」と時間軸でしかものを見ることができないのは、高プロの本質を理解していないことの証です。日本経済新聞はこの辺りのことをちゃんと理解していて、高プロのことを、「脱時間給制度」と正しく表現しています。

www.nikkei.com

 高プロが「残業代ゼロ」だと主張するなら、裁量労働制の対象労働者全てが「残業代ゼロ」を監督署に申告した場合、同署からどういう反応が返ってくるかについて想像をめぐらすべきです。

北海道新聞にだけは言われたくない

 以前次のような記事を書いたことがあります。

www.mesoscopical.com 

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 北海道新聞社が、東京支社の社員の残業代(時間外・休日労働の割増賃金)を支払っていなかったとして、三田労働基準監督署(東京都)から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。是正勧告は、2016年3月18日付。社内調査で、14年2月~16年4月、計約2億8300万円の未払いがあることもわかった。同年5月までに支給済み。対象労働者は、全社員の7割を超える1064人。(参照元:『朝日新聞』

 筆者も、あまり昔のことを蒸し返したくはありませんが、言行不一致も甚だしいので、敢えて再掲しました。現行法制下で、残業代ゼロを試みたのは、むしろ北海道新聞のほうです。

まとめ

 北海道新聞は、連合が高プロ容認の方向に向かうとみるや散々批判していました。

www.hokkaido-np.co.jp

 ところが、連合内の調整がうまくいかないとみるや一転翻って、連合を応援する…マスコミのご都合主義には辟易としますね。