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テスラ・パナソニック・トヨタ…先見の明がある会社はどこか?

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パナソニックとテスラ

 現在、パナソニックとテスラは、車載(EV)用バッテリーに関して協力関係にあります。2017年1月4日(現地時間)、両社は、米ネバダ州にあるギガファクトリーと呼ばれる工場内で、円筒形リチウムイオン電池セルの量産を開始すると発表しました。テスラでは、年間50万台分のEV生産を目指していますが、2018年中にはギガファクトリー内で、これに対応できる電池を生産できる体制にあります。

car.watch.impress.co.jp

Space X社について

 ところで、テスラのイーロン・マスクCEOは、別の会社も経営しています。Space Xと呼ばれる、ロケットによる宇宙輸送の会社です。ファルコン9と呼ばれるロケットを開発しています。2段構造のロケットで、低周回軌道に到達した後2段目を切り離し、1段目が洋上船めがけて、垂直着陸するというものです。

 2016年4月8日(現地時間)に、初めて、洋上船において垂直軟着陸に成功しました。下記の動画は、このときの洋上船への着陸の様子です。


CRS-8 | First Stage Landing on Droneship

(参照元:SpaceX Featured Videos)

 2017年3月30日、Space X社は、ロケットの再利用打ち上げ・回収に成功しました(参照元:nytimes.com)。これまで、ロケットは使い捨てが常識でしたが、この回収試験の成功により、ロケットのリサイクルが実証されました。これは、宇宙輸送コストの劇的な削減に繋がる画期的なことであり、海外メディアは大々的に報じています。

 イーロン・マスクの先見の明には目を見張るものがあります。このようなことを成し遂げるとは、Space X社は、まさに天才の集団ですね。

水素社会について考えてみよう

 イーロン・マスクのもう一つの会社であるテスラは、どこよりも早くEV時代の到来を予見していました。その一方で、社内のしがらみか全方位的か何か知りませんが、水素社会に拘りエコカー市場の動向を大きく見誤った会社が日本に存在します。イーロン・マスクも断言するように、筆者も「水素社会など来ない」と思います。水素社会がいかに馬鹿げているかを説明しましょう。

水素を得る方法

 みなさんは、どのように水素を得るかご存知ですか?現在工業的に最も普及している水素の製造方法は、水蒸気改質という方法です。これは、石炭やメタンなど化石燃料由来の炭化水素を、水蒸気の熱を利用し、適当な触媒下で、水素と一酸化炭素とに分解する方法です。副生成物の一酸化炭素は、水蒸気と反応し、二酸化炭素と水素が生成されます。つまり、結局のところ、水蒸気改質で水素を得るには、二酸化炭素が同時に生成されてしまうのです。

ZEV規制が強化された背景

 ここで、米カリフォルニア州でどうしてZEV規制(排ガス規制)が強化されたのかもう一度考えてみましょう。当初ZEV規制においては、車の排ガス中に含まれる、窒素酸化物や硫黄酸化物が規制の対象でした。しかし、今世紀に入り地球温暖化問題が盛んに言われるようになり、温室効果ガスである二酸化炭素の削減が求められるようになりました。そこで、ZEV規制が強化され、18年モデルから、ハイブリッド車がエコカーの対象から外されることになりました。そのため自動車メーカー各社は、使用過程において二酸化炭素の排出が一切ないEVかFCVのどちらかの開発の選択に迫られたのです。

FCV=Fool Cell Vehicle

 FCVは水素を燃料とする自動車です。しかし、工業的に水素を生成する過程において、二酸化炭素が生成されてしまうため、本末転倒です。しかし、中には、次のように反論する方もいるでしょう。では、自然エネルギー由来の電気を用いて、水を電気分解すればよいのではと。この場合、確かに二酸化炭素は発生しませんが、そのためには膨大なエネルギーを必要とします。水を電気分解するくらいであれば、自然エネルギーで発電した電気をEVの2次電池に直接充電するほうが、よほどエネルギーロスが少ないのです。

まとめ

 先日、パナソニックが不採算事業をばっさりカットして、テスラとの協業であるEV事業に注力すると表明した話をしました。 

www.mesoscopical.com

 不採算事業をあっさり切れない会社と比べたら、パナソニックの経営手法は大変潔いですね。