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違法長時間労働の容疑で社員はお得意さまのパナソニックを書類送検 

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はじめに

 松下幸之助の言葉は、次のサイトから引用しました。

systemincome.com

 ところで、3月8日次のような記事を書きました。 

www.mesoscopical.com

 このうち、砺波の工場の過労死について動きがありました。 富山労働局 砺波労働基準監督署は、3月15日労働基準法違反の疑いで法人としてのパナソニックと労務管理担当幹部2人を書類送検しました。

www.nikkei.com

 送検容疑は2015年12月~16年6月、砺波市の工場に勤務する3人の従業員に対し、労使協定の上限を超える違法な時間外労働をさせた疑い。同労基署によると、3人の1カ月当たりの最長の時間外労働は97~138時間で、労使協定の上限(80時間)を大幅に上回っていた。(参照元:日経新聞) 

 送検容疑は、36協定違反すなわち労働基準法32条違反です。報道によると、36協定の延長時間の上限が80時間となっています。おそらく工場労働者なので、36協定の限度時間適用除外業務に該当しません。したがって、特別条項付き36協定が締結されていた可能性が考えられます。したがって、繁忙期のみに許される特別延長時間をも超える時間外労働をさせていたということになります。

 報道には、3人の従業員に対し、2015年12月~2016年6月に違法な長時間労働をさせたとあります。また、2016年6月に過労死した同社40代社員(以下Aさんとします)も、違法な長時間労働をさせられていた3人の中に含まれているともあります。

 ということは、Aさんが過労死する半年も前から、36協定で決められた延長時間を超える違法な長時間労働をさせていたことになります。そして、36協定違反を2016年6月、つまり、Aさんが過労死したのと同じ月まで続けていたことになります。

富山労働局について

 今回、砺波労基署が公正な判断に基づき書類送検をしたことは評価に値します。しかし、もう少し早く労基署が監督に訪れて是正勧告していれば、Aさんは助かっていたかもしれません。労基署がマンパワー不足なのは確かにわかります。日本は、労働者1万人当たりの監督官の数が0.53人と少なすぎます。人の命にかかわる問題なので、一刻も早い労働基準監督行政の拡充を望みます。監督官を増やし、定期監督の頻度を上げてほしいものです。

働く側も労働法の知識で身を守ろう

 働く側も、労働法の知識を身に付けることで身を守ることに繋がります。特に、36協定の仕組みに関するところは、労働時間に関わる重要な箇所です。自分の勤務時間があまりにも長過ぎると思ったら、まず36協定違反を疑ってみてください。これまで本サイトで述べた36協定のまとめと、身を守る方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。 

36協定のまとめ

 36協定は非常に複雑でわかりにくい制度です。しかし、自分の身を守るためにもこの制度をちゃんと理解することが必要です。以下、36協定に関して確認事項のまとめを示しますので、ぜひ参考にしてください。

  1.  まず事業場にて、どこに36協定の内容が書かれた文書があるかを確認する。
  2.  自分が就いている業務が36協定に記載されているかを確認する。
  3.  2を確認したら、延長時間が何時間かを確認する。
  4.  36協定において特別条項のただし書きが記載されているかどうかを確認する。
  5.  4でただし書きが存在した場合、特別延長時間がどのような場合に何時間までかを確認する。
  6.  4でただし書きが存在した場合、特別延長時間が現在適用されているかを人事担当者に確認する。

 36協定の確認方法は下記の記事に詳細を記してありますので参照してください。

www.mesoscopical.com

 また、36協定の見方については下記の記事に詳細を述べています。ぜひ参照してください。

www.mesoscopical.com

長時間労働を抑制するための3つのポイント

 長期間労働を抑制するためには、下記の3つのポイントが重要です。

①毎日の残業時間をノートやメモ帳に記しておく

 できれば、残業時間だけでなく毎日の出退勤時刻をノートやメモ帳などに正確に記入しておくことを強くお勧めします。残業時間には、始業前残業の時間も算入されます。

例えば、

始業時刻9:00

休憩時間12:00~13:00

終業時刻18:00

 の会社で、8:00に出勤し20:00に退勤すれば、始業前残業が1時間で、この日はトータル3時間の残業になります。

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②上述の36協定の概念を理解し、自分が就いている業務について延長時間を把握する

 自分がした残業時間をノートなどに記載していれば、1日・1か月・1年間といった一定期間に自分がどれだけ残業したのかを把握することができます。36協定に記載されていた延長時間を照合して、限界に達したらその後は残業する必要はありません。それ以上残業すると違法な長時間労働となり、使用者は労働基準法32条違反になります。したがって、例えそれ以上の残業を命令されても従う必要はありません。

③毎月の給与明細を確認する

 残業したにもかかわらず残業代が全く支払われていなければ、労働基準法37条違反に該当しますので、ノートを持参して会社近くの労働基準監督署に申告してください。

全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省

 また、残業代がどうも少ないなあと思ったら、人事担当者に何時間分の残業代かを問い合わせてください。ノートの残業時間と照合して明らかに少ないと思ったら、会社近くの労働基準監督署に相談してください。 

 このように長時間労働を抑制するためには、残業時間を正確に把握することに加え、36協定の内容を知ることが必要なのです。