- レコード大賞受賞者は知らないけれどブラック企業大賞の受賞企業なら答えられる
- ホワイト企業大賞というものが存在した
- ホワイト企業の判断要素:企業の業績
- ホワイト企業の判断要素:経営者の経営理念
- ホワイト企業の判断要素:客観的データ
- 精神論に終始する表彰理由は全く理解できない
レコード大賞受賞者は知らないけれどブラック企業大賞の受賞企業なら答えられる
今や、NHKのニュースで報道されるほど、ブラック企業大賞は年々関心が高まってきています。もちろん、ブラック企業大賞を贈るべき企業が無くなるに越したことはありませんし、筆者もそう願っています。
ところで、みなさんは昨年のレコード大賞は誰が受賞したかご存知でしょうか。また、昨年の紅白歌合戦で紅組か白組のどちらが勝利したかご存知でしょうか。筆者は全く知りません。しかし、昨年のブラック企業大賞をどこが受賞したか*1であれば答えることができます。このように、年末に行われるレコード大賞や紅白歌合戦への関心が年々薄れる中、ブラック企業大賞は年末恒例のイベントとなりつつあるのです。
ホワイト企業大賞というものが存在した
みなさんはホワイト企業大賞というのがあるのをご存知でしょうか。筆者は最近まで知りませんでした。ホワイト企業大賞企画委員会というところが主催しています。昨年の1月16日に第2回ホワイト企業大賞表彰式が開催されました。こちらに、各企業の表彰理由と結果が示されています。しかし、筆者は残念ながらこれらの表彰理由とホワイト企業との相関性が全く見出せませんでした。そこで、どのような企業をホワイト企業と言うべきか考えてみたいと思います。
ホワイト企業の判断要素:企業の業績
筆者がホワイト企業を考える上で一番重要な指標は、企業の業績にあると考えています。さすがに赤字続きの企業をホワイト企業と言う人は誰もいませんよね。解体寸前の東芝をホワイト企業と言う人もおそらくいないでしょう。
しかし、いくら業績が好調でも、社内で長時間サービス労働が横行していてはとてもホワイト企業とは言えません。電通が2月14日に発表した2016年12月期の決算によると、営業利益が1376億円という過去最高益を記録しました(参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/158998)。しかし、電通が正真正銘のブラック企業だと言えることはみなさんご存知の通りです。
ホワイト企業の判断要素:経営者の経営理念
そもそも、電通の異常な長時間労働の体質は、電通4代目社長の吉田秀雄によって半世紀以上前に作られた「鬼十則」に起因していると言われています。したがって、次に筆者がホワイト企業の重要な指標と考えるのが、経営者の経営理念です。特に、経営者が長時間労働についてどのように考えているかが、ホワイト企業を判断するうえで重要な要素となるのです。
先日、カルビーの松本会長についての記事を書きました。
カルビーの松本会長は就任以来、会社を7期連続の増収増益へと導いています。その上、「従業員には残業をするなと言っている」と雑誌のインタビューで語っています。業績・経営者の考え方の両面においてカルビーはホワイト企業と言えます。
ホワイト企業の判断要素:客観的データ
その他には、例えば年次有給休暇取得率が何%とか、月平均の時間外労働時間が何時間とか、過去に労基署から是正勧告を受けたことがあるかどうかなどの客観的データも補助的な判断材料として必要でしょう。以上を、総合的に踏まえたうえで、ホワイト企業大賞を決定すべきだと筆者は考えます。
精神論に終始する表彰理由は全く理解できない
では、ホワイト企業大賞の表彰理由がどのようなものか具体的に見ていきたいと思います。ホワイト企業大賞の表彰理由の一例を示します。
石坂産業株式会社
「この人はこういう感性でこういうことができるから、あの仕事をまかせよう」というように、社員に仕事を合わせることや、社員が先生役を務める「石坂技塾」などを通じて社員・地域・地球に優しく愛される永続企業づくりに尽力されていることに感銘を受けた。(一部抜粋)
社員・地域・地球って幅が広すぎませんか。
筆者のような凡人には全く理解できません。上記の何をもってホワイト企業と認定したのか答えられる人は果たしてどれだけいるのでしょうか。皆さんも良い機会ですのでぜひホワイト企業について考えてみてください。
*1:脚注:2016年のブラック企業大賞は電通が受賞しました