雇用形態について
雇用形態を判断するのに次の3つの基準があります。
- 期間の定めのある雇用(終身雇用)か否か
- フルタイムかパートタイムか
- 直接雇用か間接雇用か
したがって、次表に示すように、2×2×2=8通りの雇用形態が考えられます。
1に属する人を正社員と呼びます。一方、2~8に属する人を非正規社員あるいは非正社員と呼びます。しかしまれに、特定派遣社員の方で期間の定めのある雇用の方がいます。では、それぞれ具体的に解説します。
なお、下記の番号は、上記の表の番号に対応しています。
- 長期雇用が保障される代わりに勤務地や職種を限定せずに働くことを特徴としています。
- 雇用契約期間を定めて働く人たちです。雇用契約書に勤務地や職務内容が明記され、使用者の都合で契約期間途中でこれらを変更することは信義則上できません。いつ頃から、この雇用形態が発生したかはっきりしていませんが、一説に1988年頃にはすでに存在していたと言われています。
- 終身雇用のパート労働者やアルバイトですが、今はこのような方はあまりいません。
- 今はパート労働者やアルバイトの多くがこの形態をとっています。2と同様、契約期間途中で勤務地・職務内容を変更することはできません。
- 派遣会社と期間の定めのない雇用契約を締結し、様々な企業に派遣される人たちのことです。特定労働者派遣の多くがこの形態をとっています。派遣先企業とは個別に有期の労働者派遣契約を締結しています。したがって、労働者派遣契約途中で派遣先の都合で勤務地や職務内容を変更することはできません。
- 派遣会社と期間の定めのない雇用契約を締結せずに、仕事があるときだけ労働者派遣契約を締結して、各企業に派遣される人たちのことです。法律上は、一般労働者派遣と呼びます。5と同様、労働者派遣契約途中で派遣先の都合で勤務地や職務内容を変更することはできません。
- 特定派遣社員のうち派遣先の正社員より週所定労働時間が短い人たちのことです。他は、5に準じます。
- 一般派遣社員のうち派遣先の正社員より週所定労働時間が短い人たちのことです。他は、6に準じます。
まとめ
かつて日本においては、正社員とパートタイマーの2種類の雇用形態しかありませんでした。しかし、現在の日本においてはたくさんの雇用形態があり、働き方が多様化しています。にもかかわらず、そのうちの一つを正規と呼び、その他を一括りにして非正規と呼んで集団化するのは、多様性を認めない社会を現していると言えるでしょう。
では、なぜ1と2~8で線引きをする必要があったのでしょうか。それは、日本社会において非正規雇用が増加していった背景と深く関連しているからなのです。