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残業時間の過少申告の求めに乗ってしまったらChanges for the worseになるので気を付けよう

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残業時間の過少申告を求められたら気を付けるべし 

 前回、36協定の延長時間ないしは特別延長時間の数字を知ることがいかに重要かについてお話ししました。 

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 本来、法定労働時間を超える労働(いわゆる残業のこと)は、労働基準法で禁止されています。しかし、「みんなが定時に帰ってしまっては仕事が成り立たない」と言う方もいるでしょう。そこで、労使で話し合って、「では、〇〇時間までなら残業を許容しましょう」と約束し、それをお役所に届け出て初めて残業が認められるわけです。これが、36協定の本質です。

 しかし、いったん〇〇時間までと言って役所に届を出しておきながら、実際はそれを超える労働をさせていたらどうなるでしょうか。お役所にとっては、「信義にもとる」ということになってしまいます。そこで、そのような事案を発見次第、監督署は労働基準法違反容疑で是正勧告したり、改善の余地が無い場合、書類送検しているのです。

 使用者は、それが怖いから残業時間の過少申告を求めてくるのです。すなわち、残業時間が36協定で届け出た延長時間内に収まるように帳尻を合わせているのです。例え上司の命令とは言え過少申告をしてしまったら、上記のような違法長時間労働が無かったことと自ら認めてしまうことになります。したがって、このような求めには絶対に乗ってはいけないのです。

 労働基準監督署も違法残業の証拠集めに苦心することとなり、立件が困難になります。したがって、労働者自らが、違法長時間労働の使用者側の証拠隠滅行為に加担してはならないのです。こんなことをしたら、ますます労働環境が、”Changes for the worse”になってしまいます。 

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残業時間を過少申告を求められたらどうしたら良いか?

 どうしたらよいかは、下記の2点に尽きます。

  1. 自らの残業時間を正確に把握する
  2. 36協定における延長時間または特別延長時間を超えた時点から、一切残業しない

 ところで、1950年10月10日に東京地裁が下した判決に次のようなものがあります。概略は以下です。

  • 36協定に基づかない残業を拒否した労働者を、使用者が解雇した
  • 当該労働者が、東京地裁に解雇の効力停止を求める仮処分申請をおこなった
  • 東京地裁は、解雇停止の仮処分申請を認めた
  • 判決理由の要旨:「残業は会社の慣行によって行われてきたものであるから、そのような残業は法律上前提条件を欠いており、信義則違反に当たらない」

 上記裁判例が示す通り、職場に変なローカルルールがあったとしても、違法な残業に従う必要はないのです。よって、36協定の延長時間を超えた違法な残業は、断固拒否すべきです。会社も、おそらく上記判例を知っているでしょうから、違法残業の拒否を理由とする解雇はできないのです。

36協定についてのおさらい

 過半数労働組合や労働者の過半数を代表する者と使用者とが書面で協定(約束事のこと)を結んで労働基準監督署に届け出たら、届け出た延長時間分だけ残業が認められます。

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 この協定のことを36(さぶろく)協定といいます。労働基準法36条に詳しく書かれていることがその名の由来です。

36協定の周知徹底義務

 一旦会社が36協定を労働基準監督署に届け出たら、それで終わりというものではありません。使用者は労働者に36協定の内容を周知徹底しなければなりません。周知徹底とは、協定の内容を労働者に知らしめるということです。したがって、 新しい会社に入社したら、会社に36協定がちゃんと存在するかどうか最初に確かめると良いです。現在お勤めの方もすぐに確かめてください。

 では次に、36協定を確かめる方法について述べます。

36協定を確かめる方法

 36協定の周知徹底方法には次の3つがあります。

①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

例:職場の掲示板に掲示する。

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②書面を労働者に交付すること。

③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

例:社内のイントラネット上の人事規定集を集めたサイトに36協定の内容が書かれたファイルを公開する 。

まとめ

 上記①~③何れかの方法で36協定の内容を把握できるはずです。以上がなされていない場合は、36協定が締結されていない可能性があります。このようにして36協定を目にしたら、まず延長時間や特別延長時間を把握しましょう。その後どうすべきかは前述のとおりです。