Mesoscopic Systems

働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

労働法を無視し散々使い倒して解雇するブラック企業

f:id:mesoscopic:20170128153300j:plain

解雇権濫用法理を物ともしないブラック企業

 中小企業の中には、解雇権濫用法理を無視し、労働者を次々と解雇するブラック企業があると前回お話ししました。  

www.mesoscopical.com

 次々と解雇していったらそもそも労働者がいなくなってしまうので、多くの場合、頻繁に求人を出すことになるでしょう。つまり、大量採用と大量解雇が共存しています。しかし、頻繁に求人を出しているからと言って、そこがブラック企業であるとも限りません。たとえば、看護師を探している医療機関が、慢性的な人材不足で常に求人を出している場合はブラック企業に該当しません。つまり、頻繁に求人を出しているという事実だけで、求人事業所がブラック企業だと断定はできないのです。すなわち、求人を出す頻度という観点からブラック企業を入社前に予測することは難しいのです。

見分ける手立てはないのか

 しかし、見分ける手立てが全く無いわけではありません。唯一の手立ては、求人事業所の離職率・平均勤続年数等を調べることです。平成28年3月から、ハローワークでは雇用のミスマッチ解消のため、求人事業所の過去3年間の新卒採用者数・離職者数や平均勤続年数といった情報提供サービスを始めました(出所:厚生労働省『就労実態等に関する職場情報を企業に求めることができる制度について』)。しかし、企業側からの情報提供は努力義務である上、新卒者募集に対象が限られています。これを義務規定にし全ての募集に対象を広げないと、とても有効とは言えません。

 万が一入社したらどうすればよいのか

 では、万が一このような企業に入社してしまったらどうしたら良いのでしょうか。解雇される前に辞めてしまえばよいのです。

f:id:mesoscopic:20170128152840p:plain

 もともと解雇することを前提に募集をかけているので、このような企業においては、労働者を次々と雇います。そして、企業にとって都合の良い人間だけを手元に残しその他の労働者を解雇します。企業にとって都合が良いかどうかを判断する基準は、多くの場合、「いかに長時間労働したか」や「いかにサビ残をおこなったか」ということです。つまり、その企業にとっていかに都合よく労働投入が行えるかどうかを基準にしているに過ぎません。決して「いかに画期的なアイディアを発案してその企業に貢献したか」ということではありません。

 したがって、解雇権濫用法理を無視する企業においては、徹底的に使い倒され、長時間労働で体を壊してしまうのが結局のところでしょう。

競争に勝ち残っても良いことはない

 では、仮にこのような企業で長時間労働に甘んじたものの、次第に危機感を感じて、自分から辞めたいと言ったらどうなるでしょうか。そのときは、逆にその労働者の辞めたいという意思に反して、何としてでも会社に引き留めようとしてくるでしょう。まじめで、責任感の強い人ほどこの引き留めに乗ってしまいます。このような体質を感じ取ったら、競争に乗る前に、自分からすぐに辞めてしまったほうが身のためです。