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「日本経済新聞社に転職してはいけない」本当の理由

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はじめに

日本経済新聞が次のような記事を掲載しました。

style.nikkei.com

著者は、リクルートワークス研究所副所長の中尾隆一郎氏。

趣旨は、「長時間労働が常態化している会社には持続可能性が無いから、そういったところには転職してはいけない」とするものです。

「そんなこと当たり前。何を今さら…」という気がしないでもないですが、母集団の大きい(n=48763人)アンケート調査に基づいてこの結論を導ているところがたいへん興味深いです。

リクルートのアンケート結果について

アンケートでは、2015年12月に非就業であった人の就業意向を次の3つに分類しています。 

  • (A)就職活動をしている人⇒4.9%
  • (B)就職活動はしていないが、就業希望がある人⇒9.5%
  • (C)就職活動はしておらず、就業希望もない人⇒85.5%

(A)~(C)それぞれのカテゴリーの属する人たちの割合は、就業インセンティブに逆比例する結果となっています。

では、この人たちが1年後にいったいどうなったか?

 2016年12月時点で上記に属する人たちがどの程度就業したか、すなわち、1年後就業率は、それぞれ

  • (A)61.5%
  • (B)25.2%
  • (C)6.5%

だったそうです。

なるほど、就業率は就業インセンティブに比例するという自然な結果になっています。

上記をまとめて、2016年12月時点で就業した人の全就業者数に対する割合でみると、

  • (A)3.0%
  • (B)2.4%
  • (C)5.6%

だったそうです。

すなわち、1年後に新たに労働参加した人の割合は、(C)がいちばん高いということです。(C)に属する人たちは、就業率が低いものの非就業者に占める割合が圧倒的に高いため、新規に労働参加した人数の上では他のカテゴリーに打ち勝っているということです。

では、(C)の人たちが就業先を選ぶ際に、何がいちばん決め手となったか?

「勤務時間」です。

アンケートによると、「勤務時間を選べることが決め手になったかどうか」という設問に対し、(C)に属する人が「あてはまる」と答えた割合は、(A)の3倍だったそうです。

そもそも、「勤務時間を選べる」というのは、長時間労働に陥らないことと同義です。

今後人手不足を補うためには、(C)の人たちに見合った就業環境をいかに整え、いかに労働参加を促すかが鍵となります。

上記の結果からも、長時間労働が常態化しているような職場は(C)の人たちからそっぽを向かれ、益々人手不足に陥っていくことは明らかでしょう。

さらに今後は、生産年齢人口比率が低下の一途を辿ることが明らかなため、どの企業もより一層の人手不足に陥っていくことは、周知の事実です。

筆者は、人手不足を解消するためには、長時間労働を即刻改めるべきとかねがね主張してきましたが、リクルートが実施したアンケート結果によって、その主張の正当性が裏付けられました。

そのほか、記述されていたこと

いずれにしても、長時間労働は、アブセンティーズム、プレゼンティーズムの両方を引き起こすきっかけとなっていることが多く、従業員の心身の健康や組織の生産性を著しく下げる要因となるのです。

 (出所:NIKKEI STYLE 2017年11月24日)

「アブセンティーズム」とは、「会社を欠勤する・休む」など労働投入量の低下のことです。

「プレゼンティーズム」とは、労働生産性の低下です。

長時間労働が脳血管疾患・虚血性心疾患などの健康障害を引き起こし、ひいては「欠勤する・休む」などに繋がるのはこれまでに何度も指摘してきた通りです。

また、長時間労働が労働生産性の低下を招くことは既に実証されています。

政府は、今年度の経済財政白書において、1人当たりの労働時間と労働生産性の関係をOECD諸国のデータを使って分析し、「1人当たりの労働時間が10%長くなると1時間当たりの労働生産性は25%低下する」と結論付けています。 

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また、長時間労働は健康障害を引き起こすため、我が国の医療保険制度の財政状況を悪化させる要因の一つともなっています。

まさに、長時間労働は経済成長や財政の健全化の観点から、百害あって一利なしなのです。

まとめ

今回は、日本経済新聞から、リクルートの中尾氏が書かれた記事をもとに長時間労働について考察しました。

氏は、「『長時間労働の会社に転職してはいけない』本当の理由」を様々な観点から明らかにされています。

では、日本経済新聞は大丈夫でしょうか?

今年の6月、日本経済新聞社が昨年9月~今年2月に東京本社総務・経理部門などで違法な長時間労働をさせていたことが発覚しました。

6月27日、日本経済新聞が報じました。

東京労働局中央労働基準監督署は、労働基準法32条違反で同社を是正勧告しました。勧告は今年5月30日付。

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つまり、「日本経済新聞社に転職してはいけない本当の理由」はこれです。