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パナ子会社に是正勧告 大阪中央労基署:いつまでも懲りんやっちゃなあ

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はじめに

今年の3月、パナソニック本体が、労働基準法違反で書類送検されました。

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今回は、パナソニックの子会社が、大阪中央労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告書及び指導票の交付を受けました。

是正勧告および是正指導を受けたのは、電気工事会社のパナソニックESエンジニアリング(大阪市)。

勧告・指導の内容は次の通り。

  • 是正勧告:休日に出勤しながら代休が申請されていないため、適切に代休を取得すること
  • 是正指導:申告された労働時間とパソコンの利用履歴等客観的手法によって把握される労働時間との乖離が見られたため、所定の補正を行い適切な労働時間把握をすること

参照元:産経新聞

www.sankei.com

是正勧告について

この状態は、労働基準法違反に該当するため、労基署は是正勧告を行いました。

その根拠は次の通りです。

労働基準法における休日規定について

労働基準法35条第1項では、使用者は労働者に毎週少なくとも1日の休日を与えなければならないことになっています。

この休日のことを法定休日と言います。

法定休日に出勤した場合、そのままでは、週1日の休日すら確保されず、何日も連続勤務が続くことになってしまいます。

この事態を避けるために、使用者は、次の何れかの方法を取らなければなりません。

  • 休日の振替
  • 代休
休日の振替

休日の振替とは、あらかじめ休日とされた日を労働日とし、他の労働日を休日とすることです。これを行うためには細かな要件があります。

次の記事にその詳細を記しているので参考ください。

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この場合、「あらかじめ」という点が重要です。

したがって、休日労働が行われた日が経過し、事後的に休日の振替ができないことに注意が必要です。

代休

代休とは法定休日に労働が行われた場合に、その後の特定の労働日の労働義務を免除することです。

連続勤務を避けるために、代休は休日労働が行われた日からなるべく近接した日に取得されなければなりません。

今回のパナソニック子会社では、代休取得を怠っていたため、労働基準法35条違反で是正勧告を受けたのでしょう。

是正指導について

厚生労働省のガイドラインでは、労働時間は使用者による現認あるいは、タイムカード・ICカード・パソコン使用履歴など客観的な記録を基礎として把握しなければならないことになっています。

やむを得ず、自己申告による場合、これら客観的手法によって把握される労働時間と自己申告によって把握された労働時間とに乖離が見られる場合には、前者の手法によって所要の補正を施さなければならないことになっています。

労基署の臨検により、今回、両者に乖離が見られたため、労基署が是正指導をしたのでしょう。

また、自己申告によって把握した労働時間が客観的手法を用いて把握した労働時間よりも短い場合、自己申告に基づく労働時間で時間外労働の割増賃金が支払われていれば、賃金不払い残業に相当し、労働基準法37条違反に該当する可能性があります。

時間外・休日労働協定の対象労働者

報道では、管理職を除く600人を対象にという記述が見られます。

これは、管理職を除く600人が、時間外・休日労働協定の締結対象労働者であることを意味しています。

監督署がこれら600人に絞って、労働時間管理の実態について調査したのは、管理職が時間外・休日労働協定の締結対象から外されており、したがって、使用者による労働時間管理の対象からも除外されているからです。

パナソニック本体の労働基準法違反との違い

パナソニック本体では、時間外・休日労働協定(36協定)によって、労使で合意した、時間外労働の限度時間を超えて労働させていたため、労働基準法32条違反で書類送検されました。

パナソニック子会社の件のように、労働時間の把握が杜撰な場合、客観的手法によって導き出された労働時間が、結果として、当該限度時間を超えている可能性もあります。

したがって、時間外・休日労働協定の締結対象労働者の労働時間は、自己申告ではなく、なるべく客観的手法によって把握されなければならないのです。

まとめ

電通事件では、東京地検が略式起訴をし、東京簡裁が略式不相当として、公判を開くことを決定しました。

そういえば筆者も忘れていましたが、パナソニック本体の労働基準法違反事件についてはどうなったのでしょうか?

今のところ、検察が起訴したという報道は筆者の知る限りありません。

今後の注目点は、パナソニックの事件に関しても果たして検察が起訴するのか、起訴するとすれば、略式なのか正式なのか、略式の場合、簡裁が略式不相当とするのかどうか、などの点があります。

今後の成り行きに注目していくべきですね。