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2ちゃんねる「仕事って5時間ぐらいが理想だよな」から、現代の雇用労働の問題について考える

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はじめに

2017年5月21日、2ちゃんねるに「仕事って5時間ぐらいが理想だよな」というスレッドが立ち、話題になっています。(参照元☟:2ちゃんねる )

仕事って5時間ぐらいが理想だよな

 筆者も読みましたが、本質を鋭く突いている書き込みがたくさんありました。

今回は、この「仕事って5時間ぐらいが理想だよな」というスレッドから、現代の雇用労働の問題点について考えてみます。

筆者が注目した書き込み

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詳細はわかりませんが、仮に休憩1時間・月所定労働日数を20日とすると、時間外労働が過労死ラインとされる月100時間超です。

早々に転職を検討すべきでしょう。

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労働基準法34条に休憩時間の定めがあります。

使用者は労働者の労働時間に応じて次のような休憩時間を与えなければならないことになっています。

労働時間≦6時間:付与義務なし

6時間<労働時間≦8時間:少なくとも45分

労働時間>8時間:少なくとも1時間

 このように、労働時間が6時間以下であれば休憩時間なしです。

また、労働時間がちょうど8時間の場合でも、休憩時間が1時間である必要はなく、法律上は45分でOKです。

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 その通りですね。

そもそも、労働基準法では週40時間を超える労働を禁止しています。

ところが、36協定という労使協定を締結することで週40時間の禁止条項が免除されるという規定があり、これが問題なのです。

36協定において設定できる延長時間の限度はこれまで事実上青天井でしたが、先般の残業時間の上限規制を巡る労使の話し合いで時間外労働の時間数が連合が提案した月100時間未満という結論に落ち着きました。

ところが、「月100時間未満」は過労死ラインに限りなく近づく上限設定であり、非常に問題があります。

なお、諸外国に目を向けると、例えばフランスでは週法定労働時間が35時間イギリスでは残業時間も含めた週法定労働時間が48時間となっています。

日本も、これくらい厳しくしないとだめだと思います。

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 正社員は就業地域や職務内容・労働時間などを限定しない包括的な労働契約です。

したがって正社員として入社すると、先述の36協定や就業規則が一律に適用され、時間外労働(残業)を使用者から命令された場合、拒否できなくなってしまいます。

仮に残業命令が合理的なものであり正当な理由なくこれを拒否した場合、懲戒解雇の対象になることが最高裁判例(日立製作所武蔵工場事件 最一小判 平成3.11.28)から示されています。

しかし、雇用を流動化し、期間の定めのない雇用(いわゆる終身雇用のこと)という条件を取り払えば、柔軟な雇用調整が図れるようになり、労働時間を無限定とする目的が消失します。

この書き込みのように、8時間労働かつ時間外なしということも可能となっていくでしょう。

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 仕事が楽しいとする人は、労働時間に応じてではなく、成果に応じて報酬を決定すればよいと思います。

ダラダラ残業の抑制にも繋がります。

あくまで、ホワイトカラーが対象です。

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 工場勤務の場合、労働密度が高いため、労働時間管理を特に徹底しなければなりません。

ブルーカラーの場合は労働時間に応じて付加価値を生み出すことができるため、ホワイトカラーとは異なり裁量労働制の対象からは外されます。 

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 鋭いですね。

現在の日本の労働市場では、終身雇用が前提だが労働時間が無制限の正社員終身雇用を前提とせず労働時間も限定的なパート労働者の二極化が進行しています。

これは、夫が正社員として主たる家計を担う一方で、専業主婦が家事をこなしながら短時間労働によって補助的な家計を担っていたという高度成長期モデルが前提となっています。

現代日本にあって、このモデルはすでに破綻しています。

雇用を流動化すれば、この極端に二極化した労働時間が均てん化され、同一労働・同一賃金の方向に向かうことは明らかです。

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 本当にその通りです。

工場労働者(ブルーカラー)の場合は1時間当たり何個製品を完成させたかと言うように、労働時間に応じて成果を推し量ることができます。

一方で、ホワイトカラーの場合は自分が編み出した企画やアイディアが利益に直結するため、労働時間によって成果を推し量ることができません。

労働時間で成果を推し量ることができないホワイトカラーに対しても労働時間に応じて報酬が与えられる仕組みになっていることが問題なのです。

この仕組みを逆手に取り、モラルハザードとして横行しているのがいわゆるダラダラ残業の問題です。

ダラダラ残業は、企業の労働生産性を低下させる要因にもなっています。

なお、カルビーでは松本会長が就任以来ダラダラ残業を一掃し同社を増収増益へと導き続けています。 

www.mesoscopical.com

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 よくある光景ですね。

これは、終身雇用・年功序列賃金を採用している古い体質の企業によく見られます。

年功序列賃金では、若い頃低賃金で抑えられていた賃金を中高年になって回収する仕組みを採っています。

このような企業においては、いかに成果を上げたかや労働生産性を高めたかというより、企業に対する忠誠心が評価の対象とされます。

忠誠心とは、成果とは無関係にいかに労働投入をしたか(いかに長く働いたか)ということへのシグナリングのことです。

上記書き込みにおける老害の発言は、自分が若い頃その当時の上司(老害)から言われたことがデジャビュとなって発現しているに過ぎないのです。

まとめ

上記2ちゃんねるの書き込みを見ていると、総じて鋭いものが多かったなあという印象を受けました。

やはり、日本の雇用労働における問題点について、みんなが感じていることは同じなのでしょうか。

このスレッドの趣旨は、8時間労働ですら長く、「仕事って5時間ぐらいが理想だよな」というものです。

法定労働時間を8時間とすることは、随分以前に実現したことです。

日本では、今から70年前の1947年に労働基準法の制定によって、1日の法定労働時間を8時間とすることが規定されました。

以来、70年間この規定は変わっていません。

現在日本は少子高齢化が進展しており、経済成長も鈍化しています。

生産年齢人口の急激な減少に伴って、経済が縮小均衡の方向に向かっていることは否めないでしょう。

一方で、近年、人手不足も盛んに言われるようになりました。

今後の労働時間の長短を決定付けるのは、生産年齢人口の減少スピードと、機械化や労働生産性の向上に起因する企業の生産性上昇スピードとのせめぎあいに尽きると思います。

しかしながら、現在日本においては日本型雇用慣行が色濃く残っているため労働生産性が低く、また、労働時間の二極化も進行しています。

労働時間の二極化とは、終身雇用であるが労働時間無制限の正社員終身雇用を前提としない短時間労働者という労働時間が極端に異なる雇用形態が併存していることを意味しています。

これを放置しておくと、今後進むと思われる生産年齢人口の急激な減少のあおりを、正社員が真正面から受けることになり、長時間労働の問題がますます顕在化していくことになるでしょう。

 

高度成長期に設計された日本型雇用慣行を改め、労働時間の二極化の問題を解消しないと大変な事態に日本は陥るでしょう。