Mesoscopic Systems

働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

″労働分野の世界トップ″ ILO・ライダー事務局長が、ショッカー(ブラック企業)を退治するために来日

f:id:mesoscopic:20170514212659j:plain

はじめに

ILO(国際労働機関)のトップ(事務局長)が来日しました。

その名も、ガイ・ライダー

いかにも強そうな名前ですね。

ライダー氏は、11日塩崎厚生労働大臣らと会談しました。

その前日の10日に、厚生労働省がブラック企業(ショッカー)リストを公開しましたが、ライダー氏はこれを見てどのように思ったでしょうか。

ILOとは

ILOは、第一次世界大戦を終結させたベルサイユ条約の一環として、1919年に創設されました。

1919年パリ講和会議によって設立された国際労働委員会によってILO憲章が起草されました。

ILO憲章の序文では、普遍的・永続的な平和は、社会正義に基づく場合にのみ達成できる」という考えが反映されました。

米国の労働組合総連盟(AFL)のサミュエル・ゴンパースが委員長を務める国際労働委員会は、ベルギー、キューバ、チェコスロバキア、フランス、イタリア、日本、ポーランド、英国、米国の9か国の代表者で構成されていました。

その結果、政労使のそれぞれの代表者で執行機関を構成する唯一の三者構成の国際組織となりました。

第2次世界大戦後、フィラデルフィア宣言によって、ILO憲章の目標・原則が再確認され、1946年、ILOは新しく結成された国連の専門機関となりました。

そして、創立50周年を迎えた1969年には、ノーベル平和賞を受賞しました。

2012年5月、ガイ・ライダー(英国)が第10代ILO事務局長に選出されました。

2016年11月にライダー事務局長は、次期事務局長として再選出され、2017年10月から5年間、事務局長に再任されることが決定しています。

 ライダー氏は世界の労働分野の政策目標を掲げるうえで、最強の人なのです。

ライダー氏の発言の数々

 11日、塩崎大臣と会談後、ライダー氏は日本テレビの単独インタビューに応じました。

www.news24.jp

 このインタビューにおいて、ライダー氏は数々の重要なメッセージを残しています。

1つ1つ検証します。 

ライダー氏の発言1:

KAROSHI(過労死)という日本語は、悪い意味で世界中に知られています

f:id:mesoscopic:20170514203642p:plain

多くの方が知る通り、英語のKAROSHIは、日本語の「過労死」を語源としています。

Oxford英語辞典では、karoshiを次のように解説しています。

(in Japan) death caused by overwork or job-related exhaustion.

括弧つきですが、わざわざ、in Japanと書かれています。

同じく日本語を語源とするgeishaやsushiとは違い、karoshiほど日本人にとって不名誉な英単語は他にないでしょう。

ライダー氏の発言2 :

残業時間の上限月100時間未満は、国際的にみればまだ長すぎる

f:id:mesoscopic:20170514203727p:plain

 ライダー氏は、残業時間に上限が設けられたこと自体を歓迎しつつも、連合が提案した残業時間の上限月100時間未満という数値設定を批判しています。

また、長時間労働の問題はどこにあるのかという問いに対し、ライダー氏は次のように述べています。

ライダー氏の発言3:

残業は義務や強制ではなく、自発的に労働者側が選べるものでなければいけないということだ。

労働需給がひっ迫しているからといって、既にいる労働者に長時間労働を求めるというのは明らかな間違いだ。

今いる労働者を長時間働かせることに未来はない。

f:id:mesoscopic:20170514203851p:plain

ライダー氏の言われる通りだと思います。

日本においては、正社員が長期雇用を前提としているために、雇用が硬直化しています。

したがって、繁忙期が到来しても、なるべく内部労働市場によって、雇用調整を図ろうとします。

内部労働市場とは、企業が現在抱えている従業員のことです。

ライダー氏の言う、「今いる労働者」のことです。

内部労働市場による雇用調整には様々ありますが、その中の一つに労働時間があります。

使用者は、長期雇用を前提とする正社員に対し、残業命令という人事権を獲得しています。

つまり、定年まで同じ会社で働き続けることが許される代わりに使用者からの広範な人事権を受け入れることこそが、長時間労働の原因なのです。

ライダー氏も、「今いる労働者を長時間働かせることに、未来はない」として、内部労働市場だけに頼った日本の雇用調整のあり方を批判しています。

解雇規制緩和を実現し、雇用を流動化すれば、労働者がより良い条件を求めて転職しやすくなることは明らかです。

雇用調整の枠組みを外部労働市場にまで広げれば、長時間労働の問題が解消され、未来が開けるでしょう。

まとめ

 「使用者から長期雇用が保証される代わりに、広範な人事権の行使を受け入れる」という内部労働市場だけに頼った雇用調整を形成してきたのはいったい誰なのでしょうか。

広範な人事権の最たる例が、特別条項付き36協定です。

今回の残業時間の上限規制をめぐる政労使の話し合いでは、特別条項付き36協定において月100時間未満という過労死ラインすれすれの上限が設定されることになりました。

 

連合は、月100時間未満と大幅譲歩していると、ショッカーの一味とみなされてもやむを得ないですよ