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1球当たり約2050万円:松阪投手の事例から解雇規制緩和について考える

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はじめに

 本日(4月15日)14:00から、ヤフオクドームでソフトバンクvsオリックスの試合が行われます。

この試合には、ソフトバンクの松坂大輔投手が先発する予定でした。

しかし、ファームで調整中の12日に、「体の動きがよくない。やめておきます」と自己申告し、その後のフリー打撃が急きょ取りやめになりました。

そして、松阪投手の1軍への昇格が見送られ、本日の日本球界復帰後初先発が幻になりました。

1球当たり約2050万円について

松阪投手は、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・メッツなどメジャーリーグで8年間プレーした後、2014年12月にソフトバンクと契約しました。

年俸4億円+出来高の3年契約です。

復帰1年目から現在までの戦績を振り返ります。

  • ソフトバンク1年目(2015年):1度も1軍の登板機会なし
  • ソフトバンク2年目(2016年):10月2日にレギュラーシーズン最終戦の東北楽天ゴールデンイーグルス戦(消化試合)に8回から登板し、3安打4四死球5失点でシーズン終了

この楽天戦での投球数は39球で、2年分の総年俸8億円を39で割ると、1球当たり約2050万円です。

そして、松阪投手にとってソフトバンクとの契約最終年に当たる2017年の本日1軍先発予定でしたが右肩の不調で立ち消えになってしまいました。

 ソフトバンクのファンはこの惨状をいったいどのように眺めているのでしょうか?

松阪投手と対照的な城島捕手の例

 これと対照的なのが、2012年に引退した城島健司捕手です。

シアトル・マリナーズ退団後の2009年11月に阪神が城島捕手の入団を発表し、5年ぶりの日本球界復帰を果たしました。

年俸4億円+出来高の4年契約でした。

しかし、2012年に城島捕手は腰椎椎間板ヘルニアの手術を受け、8月には左ひざ裏の肉離れを起こすなど満身創痍の状態となりました。

2012年9月28日、城島捕手は、あと1年残っていた契約を破棄してそのシーズン限りで引退することを表明しました。

新人時代からの恩師ソフトバンク王球団会長に引退を報告する際、「現役は一回しかできないのだから、他のポジションで頑張ってはどうか」と言われたが、城島捕手の決意は変わらなかったといいます。

www.nikkansports.com

城島捕手の現在

 城島捕手は、球界を潔く引退した後、趣味である釣り関連の番組を中心にタレントとして活動しています。

引退した翌年の2013年からは、九州ローカルの放送局、RKB毎日放送で、「城島健司のJ的な釣りテレビ」という冠番組の企画・司会を務めています。

http://城島健司のJ的な釣りテレビ│RKB毎日放送

このように城島捕手は、プロ野球を引退後新たな道を選択し活躍しています。

松阪投手・城島捕手の例から雇用の流動化について考える

 プロ野球をなぜ見に行きたいのかというと、そこが実力主義の世界だからです。

基本的には単年契約であり、そのシーズンで結果を出せなかったら次の契約があるかどうかわかりません。

これこそが、プロ野球界の最も基本的な暗黙知のルールであり、これを逸脱するようなモラルハザードがあると急に面白くなくなります

 城島捕手は、2013年シーズンもプロ野球選手として続けることが契約上は可能でした。

城島捕手は、自分のことよりもプロ野球界全体のことを考え引退という選択をしたのでしょう。

そして、捕手として腰の痛みに耐えながら選手を続行する代わりに、新たに自分の趣味を活かした仕事を獲得しました。

一方、松阪投手はどうでしょうか?

横浜高校時代の恩師である小倉清一郎氏が、松阪投手の日本球界復帰1年目にあたる2015年に既に次のように語っています。

我々のような野球関係者だけでなく、素人が見ても違和感のあるフォームでしょう。 

gendai.ismedia.jp

松阪投手とソフトバンクとの契約がもし単年契約であったら、おそらく2015年に引退していたでしょう。

一度も1軍の登板機会が無かったのだから当然です。

他の若いチームメイトに悪影響を及ぼしかねないので、シーズン途中にでも引退するのが賢明な道だと思いますね。

長期契約はこのようなリスクを孕んでいるのです。

たった3年でこの状態なのですから、38年もの長期雇用契約がどういう事態を引き起こすのか明らかです。

特に、熾烈な国際競争を強いられているグローバル大企業の場合、終身雇用制を維持すればするほどどんどん競争力が低下していきます。

松阪投手とソフトバンクとの3年間という複数年契約が、この事実を証明しているのです。

終身雇用制リーグを新たに作って試してみてはどうか

 この事実のさらに精度の高い証明が必要なら、次のようにすればよいでしょう。

それは、一般社団法人日本野球機構が「終身雇用制リーグ」なる第3のプロ野球リーグを作り、お客さんが球場にどれくらい足を運ぶのか定量化することです。

「終身雇用制リーグ」における雇用のルールは次の通りとします。

  1. 選手の定年を40歳とする
  2. 新卒で選手を一括採用する(つまりトレードやFAなし)
  3. 年俸は勤続年数に応じて定まる(例:勤続年数が長ければ、最多勝利投手より1軍に全く登板機会のない投手のほうが、年俸が高いなど)
  4. 球団が存続不能になるくらい経営状態が悪化しない限り、選手を解雇することはできない
  5. 定年後は、年俸は著しく減少するが45歳までは再雇用の制度あり

 ちなみに筆者は、仮にこのようなプロ野球リーグが存在しても絶対に球場には足を運びません。

 

大企業正社員のローパフォーマーの皆さん、球場でビール片手に松阪投手のことを批判しても全く説得力が無いですよ。