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パナソニック「プラチナくるみん」認定取り消し:全国初

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はじめに ~松下幸之助の珠玉の言葉~

物事がうまくいった時には「運がよかった」と思え。

うまくいかなかった時には「自分が悪かった」と思え。

松下幸之助

systemincome.com

パナソニックの「プラチナくるみん」取り消しについて

 大阪労働局がパナソニックに与えていた「プラチナくるみん」・「くるみん」・「えるぼし」の3認定を昨日(12日)取り消したとの報道がありました。

www.asahi.com

 「くるみん」や「プラチナくるみん」は、次世代育成支援対策推進法(以下、次世代法という。)の基本理念に則って、事業主が一般事業主行動計画を策定し、厚生労働省が基準に適合するとみなしたときに認定されるものです。

次世代法3条にその基本理念が書かれています。

 次世代法3条

次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。

砺波労働基準監督署は 先月15日、富山の工場で労働者3人に対し最長月138時間の違法残業を行わせていた容疑で、パナソニックと幹部2人を富山地検高岡支部に書類送検しました。 

www.mesoscopical.com

 違法残業を行わされていた3人のうち1人は、昨年6月に過労自殺し、労災認定されています。

www.sankei.com

月138時間も残業させられて、子育てに伴う喜びが実感できる時間をどのように確保するのでしょうか?

同社がこれを受けて「くるみん」と「プラチナくるみん」の認定辞退を申し出たため、大阪労働局が同認定を取り消しました。

「プラチナくるみん」は「くるみん」認定を受けた事業主のうち実施の状況が特に優良な者に対し認定されます。

「くるみん」の取り消しは電通の前例がありますが、「プラチナくるみん」の取り消しは全国初だそうです。

これほど言行相反の事例を聞いたことが無いことを鑑みれば、全国初も納得ですね。

パナソニックは「えるぼし」の認定も受けていた

ところで朝日新聞の報道によると、パナソニックは「えるぼし」の認定も受けており、12日大阪労働局が同認定も取り消しました。

そこで、「えるぼし」とは何なのかについて説明したいと思います。

「えるぼし」認定について

「えるぼし」についても認定の流れは基本的に「くるみん」などと同じで、一般事業主行動計画を策定し一定の基準を満たした事業主に与えられます。

ただし、基本理念において両者は異なっています。

「くるみん」や「プラチナくるみん」は子育て両立支援が目的なのに対し、「えるぼし」は、女性の活躍推進が目的となっています。

根拠法令は、平成28年4月1日に全面施行された女性活躍推進法(以下、法という。)という新しい法律です。

一言でいうと「えるぼし」は女性が働きやすい職場に与えられるものです。

「えるぼし」の認定基準項目は次のように細分化されています。

①採用

②継続就業

③労働時間等

④管理職比率

⑤多様なキャリアコース

「えるぼし」が認定されるためには、①~⑤のうち少なくとも1つを満たす必要があります。

認定基準を満たした数に応じて、「えるぼしマーク」の星の数が増えたりします。

しかし、①~⑤の認定基準以外に、「法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと」という認定基準もあり、おそらく今回はここに抵触したのでしょう。

まとめ

 電通の「くるみん」認定取り消しに加え、パナソニックの「プラチナくるみん」・「くるみん」・「えるぼし」の認定取り消しによって、行政によるワーク・ライフ・バランス推進指標の信用が完全に失墜したといっても過言ではないでしょう。

就職活動・購買活動において誤信を与えかねないので、行政もいい加減このような認定制度をやめにしたらどうでしょうか。

ワーク・ライフ・バランスの推進とは、企業に何らかのインセンティブ(税制優遇措置など)を与えて、行動計画の策定を促し、形式的な審査で変なマークを付すことではありません。

ワーク・ライフ・バランスの推進とは、労働者を長時間労働に至らしめる本質的な原因を取り除くことではないでしょうか。

先日、残業時間の上限規制において、36協定の特別延長時間の上限が「月100時間未満」に落ち着いてしまいました。 

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 これは、過労死認定基準である月100時間を前提に、「それ以下」にするべきか「それ未満」にするべきかという空疎なアジェンダ設定をすることで、政労使が出した結論です。

これでは、長時間労働の抜本的な解決に繋がらないのは明らかでしょう。

 

厚生労働省は、得体のしれないマークを考案するのを止めて、過労死認定基準寸前の「月100時間未満の問題」について真正面から取り組むべきではないでしょうか。