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パナソニックの再リストラの発表をどのように捉えるべきか

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はじめに

~平家物語冒頭~

 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし

たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ

 平家物語の冒頭部分です。

かつてどんなに強大な権勢を誇った者であっても、永遠にそれが続くことは無いと言っています。

日本企業の行く末を鑑みれば、800年前のこのメッセージが現代でも大きく当てはまるのではないでしょうか。

パナソニックのリストラについて

 日経新聞が、パナソニックの再リストラを報道しました。

www.nikkei.com

不採算6事業のリストラに踏み切るそうです。

  • 今春にデジタルカメラ電話交換機光ディスク事業部を完全に解体
  • 来年3月までに兵庫県の液晶パネル生産設備住宅用太陽光設備を売却
  • 半導体事業会社はイスラエルの合弁会社に株式を売る案を検討 

パナソニックはこれまでにも、大規模なリストラを行ってきました。

2012年の新社長就任以降のリストラは

  • プラズマテレビ、パネルと二次電池事業を売却
  • 米国と中国でのテレビ生産を中断
  • スマートフォン事業からも撤退

今後は、自動車事業・住宅設備分野に選択と集中を図る方針とのことです。

自動車分野は、テスラと電気自動車(EV)用バッテリーの供給契約を締結しており、今後の成長が見込まれます。

パナソニックの経営判断について

筆者は下記のように、パナソニックによる過労死発生事例や労働基準法違反事例について批判してきました。 

www.mesoscopical.com 

www.mesoscopical.com

  しかし、パナソニックの再リストラの経営判断は正しいと思います。

不採算事業を放置しておくとあっという間に国際競争力が低下していきます。

どんどん切り離すべきです。

ところで、スウェーデンにおける製造業の名目労働生産性水準は世界第2位と非常に高い順位にあります。

これは、「競争力の低い企業が淘汰される仕組みを徹底することで産業内の新陳代謝が進みやすくしていることが一因」と日本生産性本部のレポートにおいても明言されています。

また、同国においては雇用の流動化が進んでいることも、高い生産性を維持できる大きな要因だと下記の記事において説明しました。 

www.mesoscopical.com

 その意味において今回のパナソニックの決断は賢明だったと言えます。

パナソニックと対照的な経営判断をした東芝

これと対照的なのが、現在の東芝です。

経営者が不採算の原子力事業を維持し続けたため、巨額な損失を招きあっという間に経営体力が衰えていきました。

そのため、稼ぎ頭の医療機器事業は既に売却し、債務超過を回避するために虎の子の半導体メモリー事業までも売却せざるを得ない状況に追い込まれました。

米国におけるエコカー市場の動向

今年から、米カリフォルニア州の、ZEV規制が大幅に強化され、同州において従来エコカーと認定されていたハイブリッド車が対象から外されます。

また、テスラのイーロン・マスクCEOは水素社会など来ないと明言しています。

筆者も、大規模なインフラの整備が必要かつ取り扱いも極めて困難な水素を燃料とする自動車など普及しないと思います。

ZEV規制強化に伴い、米国ではGM、フォード、さらにドイツのBMWなどが今年末頃に電気自動車を発売する計画を相次ぎ発表しています。

テスラも、今年末に大衆向け電気自動車の発売を予定しており、今後爆発的な普及が見込まれています。

中国におけるエコカー市場の動向

では、世界最大の自動車市場を有する中国ではどうでしょうか。

その前に、ガソリン車と電気自動車の大まかな違いについて説明します。

ガソリン車と電気自動車の特徴

ガソリン車では、エンジンなどの部品点数が多いため、多数の企業にまたがる高度な擦り合わせ手法を用いた組み立てが必要です。

その結果、ガソリン車を主体とする従来型の自動車産業では、非常に裾野の広い産業構造が形成されていました。

このような産業構造の下では、お互いに調整しながら協業し実践するという水平分業モデルが定着しています。

この水平分業モデルこそが日本における自動車産業の強さの源となっており、日本の高度経済成長を牽引していきました。

しかし、電気自動車の登場によって話が一変します。

電気自動車は、モーター回転駆動のため、エンジンやギアを必要とせず、ガソリン車に比べて比較的構造が単純です。

しかも、ガソリン車に比べ圧倒的に部品点数が少なく、高度な擦り合わせも必要としません。

したがって、後発の自動車メーカーでもキャッチアップが可能となり、新規参入障壁が低くなりました

中国では次々と新興のEVメーカーが市場参入している

そのため、中国では、2010年代の早い段階から電気自動車の自主開発が活発化し、中国国内の3大自動車メーカーの、BYD,第一汽車、長城汽車の何れもがEVを既に開発しています。

www.nikkei.com

その後、中国では政策支援も後押しし、2015年には、電気自動車の販売が米国を抜き世界一に躍り出ました。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6738

さらに、中国では、ここ1、2年の間に計12社の新興EVメーカーの参入が相次ぎ、そのうち8社が年内にEVを量産すると発表しています。

まとめ

このように、エコカー市場の世界的な潮流は明らかにEVです。

先日トヨタの敗北宣言について言及しました。 

www.mesoscopical.com

 トヨタはこれまで一貫して燃料電池車の開発に力を入れてきましたが、昨年の11月8日に、「電気自動車(EV)の投入を検討できる体制にしたい」と正式に表明しました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD08H6Q_Y6A101C1EA2000/

そして、EVと燃料電池車(FCV)の両にらみが必要とも表明しました。

 パナソニックが他の不採算事業を切り離し、テスラと協業して電気自動車(EV)事業を優先することとは対照的ですね。

パナソニックは、2010年3月期から2015年3月期に至るまで、連結ベースで13万人従業員が減少したそうです。

toyokeizai.net

そして、この春からさらなるリストラを断行しようとしています。

しかし、例え企業規模が小さくなろうとも、不採算事業を早めに切り離し、経営を健全化する会社には未来があると思います。

 一方で、企業規模をただ単に維持したいために、世界的潮流を見誤る企業にミライはないですね。