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厚労省はブラック企業の撲滅より利権を守るほうが大事なのか

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日本では労働基準監督官の数が絶対的に不足している

先日、ブラック企業が後を絶たない理由として、労働基準監督官の不足を挙げました。 

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我が国の労働基準監督官の数は、国際的に見ても低い数字であり、首都圏や愛知県等特に大都市圏で不足しています。

全国47都道府県の中では、神奈川県において労働基準監督官の絶対数が最も不足しており、監督官一人当たりの労働者の数は2.87万人(2015年)となっています。

東京都や埼玉県・千葉県などその他の首都圏や愛知県でも、軒並み2万人を超えています。

ILO81号条約では、労働監督官を配した労働監督機関の設置を要請しており、労働監督官1人当たりの労働者の数は、先進国においては1万人を下回ることが望ましいとされています。

したがって、首都圏や愛知県では、監督官の数は倍以上不足している計算になります。

これらの都県では、ILO81号条約で、新興国において望ましいとされる「監督官1人あたりの労働者数が2万人を下回ること」という条件すら満たしていません。

ちなみに新興国である中国はこの条件を満たしており、労働基準監督行政という意味においては、これらの地域は中国よりも体制が整備されていません。

毎年、厚生労働省では、労働基準監督官採用試験を行っていますが、最終合格者数は、

  • 平成26年度 388人
  • 平成27年度 417人
  • 平成28年度 402人

と殆ど増えていません。 

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 平成28年度の労働基準監督官の数は全国で3241人ですが、ILOが先進国に要請する国際的標準レベルに到達するには、全国で2000人の監督官が不足していると言われています。

働き方改革、残業時間の上限規制だけでは不十分 (2ページ目):日経ビジネスオンライン

このような状態を放置していたら、ブラック企業はどんどん増殖を繰り返していくことでしょう。

労働基準監督行政の民間開放について

そこで政府の規制改革推進会議において、議論されているのが、労働基準監督行政の民間開放です。

同検討会主査の八代尚宏・昭和女子大特命教授は、監督官の役割は社会保険労務士の業務と重なることが多く、監督業務の一部を社会保険労務士に開放し、監査の効率性を上げるべきとの主張を繰り広げています。

ブラック労働で多くの人が苦しみ、また、今もなお多くの人が過労死している現状を鑑みれば、八代教授のこの主張に筆者も賛同します。

ところが、今月の16日に開かれた規制改革推進会議の場において厚労省の側から驚くべき回答が返ってきました。

厚労省、労基署業務委託に難色 「複雑な仕事」 :日本経済新聞

厚労省からの回答を精査してみる

日経新聞の記事では厚労省側の回答として大きく分けて2つが示されています。

回答1

(社会保険労務士が)「事業所の違法行為を見つけるのは複雑な仕事だ」

 この点について、厚労省は現状や実態と異なることを言っています。

現在でも、厚労省は行政協力と称して、労働行政の一部を社会保険労務士に委託しています。

全国の都道府県労働局・労働基準監督署・ハローワークで多くの社会保険労務士が今も実際に働いています。

「事業所の違法行為を見つけるのは複雑な仕事だ」と言うのなら、現在、労働基準監督署で勤務している社会保険労務士はいったい何をしているのでしょうか。

 回答2

「民間人が書類閲覧を拒否された事業所に国の監督官が集中的に行けば効率も良くなる」と民間委員が強調したことに対する厚労省の回答:

「監督官が来るまでに証拠書類を処分されたらどうするのか」

これも嘘ですね。

現在でも監督官が臨検に向かう際、事業主に対し事前に書類の準備等を要請している場合があります。

証拠隠滅を恐れるのなら、現段階においても臨検を全て抜き打ちで行ってください。

それ以前に、監督業務にあたる民間人に書類閲覧の権限を付与すれば一発で解決する話でもありますね。

まとめ

 現在、いわゆる「森友疑惑」が市井の話題を賑わしています。

佐川宣寿理財局長は、森友学園に対する国有地叩き売りの交渉記録は「残されていない」と言っています。

diamond.jp

そんな大事な文書をどうして処分したのでしょうか。

また、ある市議が近畿財務局に情報公開請求した行政文書が黒塗りだらけだったそうです。

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 官僚の皆さん、「監督官が来るまでに証拠書類を処分されたらどうするのか」と言うのであれば、自分たちこそこのような隠ぺい体質を改めるべきではないでしょうか。