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残業「月100時間」で労使調整、週明けに持ち越し

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連合は言葉遊びをやめてちゃんと説明しよう

残業時間の上限規制を巡って、経団連と連合が折り合わず、結論は来週に持ち越しとなりました。

残業時間の上限規制をめぐり、「月100時間」に「未満」の2文字を入れるかどうかで、経団連と連合のぎりぎりの攻防が続いている。

「働き方改革」について、政府は、忙しい月の上限については、100時間とする案を提案している。

経団連の榊原会長が、政府案に一定の理解を示す一方、連合の神津会長は、「月100時間は到底あり得ない」と批判していた。

連合・経団連の担当者は、9日も協議を行ったが、連合側が、「100時間『未満』」とするよう主張した一方、経団連側が難色を示し、結論は、週明けに持ち越しとなった。

残業時間の上限規制を巡って、連合は月100時間未満を主張しているそうです。

そういう言葉遊びはやめましょう。 

連合は、「月100時間は到底あり得ない」と批判することと、「100時間『未満』」とするよう主張することとの違いを説明する必要があります。

99時間59分も100時間未満に入ります。 

連合にとって、100時間は到底あり得ないけれど、99時間59分は許容できる数字なのでしょうか?

100時間を巡る抵抗はやはりパフォーマンスに過ぎなかったのか

どちらにせよ、筆者の予想が当たりました。

詳しくは下の記事を参照ください。 

www.mesoscopical.com

これで、少なくとも99時間59分という残業時間に法的根拠が与えられることとなりました。

連合は遂に、終身雇用制の維持>>>長時間労働の改善ということがバレてしまいましたね。

報道によると、5年後に見直し規定を設ける方向だとか。

バブル崩壊以降日本の働き方の歪みについてはずっと指摘され続けてきました。

しかし、このようにして問題を先送りに先送りをした結果が、今の日本における働き方の姿なのです。

高度成長期以来の日本型雇用が崩壊していることが明らかなのに、連合は誰のために何を守ろうとしているのでしょうか。

とりあえず5年間は残業99時間59分と引き換えに終身雇用は守ったわけですね。

ということは、あと5年以内に定年退職を迎える大企業中高年正社員には良い知らせだったことでしょう。

月99時間でも過労死の危険はある

連合が労働者の意見を代表するのなら、もっと違った主張の仕方があると思います。

人間の体は機械と異なります。

過労死の危険性は、労働時間だけでなく不規則性や労働密度、精神的緊張や騒音・温度変化等の外部要因も加味されます。

1か月の残業時間が45時間を超えると危険性が徐々に強まると指摘されており、99時間から100時間で何かが不連続に変わるわけではありません

先日紹介した、厚生労働省の過労死認定基準にもはっきりとそう書いてあります。 

www.mesoscopical.com

ヤマトホールディングスの報道が最近多かったのはなぜか

ところで、最近ヤマトホールディングスを巡っての報道がやたら多いなあと思っていたところ、毎日新聞に興味深い記事が載っていました。

mainichi.jp

 「連合への説得材料として、石井啓一国土交通相が建設業と自動車運転業務の適用除外見直しを業界団体に促した」と。

 そこで、36協定の適用除外業務についてもう一度おさらいしたいと思います。

36協定の適用除外業務について

 労働基準法36条では、労使協定を締結すれば使用者が法定労働時間を超えた労働を労働者にさせることができます。

しかし、この時の延長時間は、繁忙期における特別条項を除いて、厚生労働大臣が定める基準内に設定しなければならないことになっています。

この基準は、月45時間です。

しかし、恒常的に忙しい事業や職種においては、この基準の適用が除外されています。

これを、36協定の適用除外と言います。

具体的には次の4つが指定されています。

  1. 建設業
  2. 自動車運転業務
  3. 研究開発
  4. その他、厚生労働省労働基準局長が指定するもの(但し年360時間の限度時間は適用される)

 このうち1と2を外そうというわけですね。

確かに1や2の場合、危険を伴う業務が多くあります。

例えば、1の場合、寝不足でクレーンを操作すれば危険ですし、2の場合も、寝不足だと自動車事故につながります。

これら業務に従事する方々が長時間労働なのは、終身雇用による雇用調整の結果というよりむしろ、慢性的な人員不足によるものです。

したがって、商慣行を見直すことにより、ある程度この問題を解消できます。

今回、建設業の方やドライバーの方の寝不足が解消されるのならそれはそれで、良いと思います。

まとめ

 建設業やドライバーの場合、雇用慣行というよりむしろ商慣行が原因なので、規制はある程度有効に機能すると思います。

一方、それ以外の業務に従事する人の場合は、旧態依然とした雇用調整のあり方に手を付けていないので、何も変わりません。

むしろ、少なくとも月99時間59分という残業時間に法的根拠を与えたことになり、場合によっては、今以上に長時間労働に拍車がかかる可能性があります。

 このように中途半端な結末になってしまったことは、結局終身雇用という悪弊を捨てることのできなかったことに起因しているのです。