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日刊SPAの「5年以内に危ない企業」の記事から「安定」について考える

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はじめに

 今月の1日から、2018年春卒業の新卒者に対する企業説明会が解禁され、就活シーズンがスタートしました。

採用支援会社「ディスコ」の調査では、2018年卒の学生が就職先を選ぶ際に最も重視するのは、「安定している」かどうかとのこと。

「安定」とは何のことを言っているのでしょうか?

60歳定年として、「安定」を38年後まで会社が存在し続けるという意味でとらえているのであれば、それは間違いです。

先日、”10年後に「消えている会社/生き残っている会社」”というタイトルの記事を紹介しましたが、トヨタ自動車ですら、2人の識者が「10年後には恐らく生き残っていないだろう」と裁断を下しています。 

www.mesoscopical.com 

そもそも、新卒で入社した企業が38年後生き残っている保証がどこにあるでしょうか。

先日、日刊SPAで、「東芝の次は?「5年以内に危ない企業」を大予測」というタイトルの興味深い記事を見つけました。

nikkan-spa.jp

5年以内とはセンセーショナルですね。

ということで、今回はこの記事に沿って、「安定」の意味について考えてみたいと思います。

黄金時代の幻影を引きずって現実を見ない会社

日刊SPAでは、「黄金時代の幻影を引きずって現実を見ない会社の末路とは」というサブタイトルが付されています。

このサブタイトル、結構本質をついています。

事業規模が大きく旧態依然とした経営体質に固執している企業ほど危ないということを暗に示唆しています。

事業規模が大きくなればなるほど、何か重大な経営判断ミスが発生した時のフットワークが重くなりがちです。

東芝を例に挙げると、不採算事業を切り離すことができず放置した結果、利益率の高い虎の子の事業を切り離さなければならず、結果として、解体危機の憂き目にあってしまいました。

大企業の多くでは、その企業のサラリーマンであったものがたまたま出世して経営者にのし上がったパターンが多くあります。

そのため、例え社長に就任しても先輩経営者の経営判断ミスに気を遣う余り、なかなか修正することができず、重大な経営危機を招いてしまうことがあります。

液晶事業からなかなか脱却できなかったシャープも然り、原子力事業を即座に切り離せなかった東芝も然りです。

このように、私情でもって何万人もの従業員を犠牲にするのですから、見苦しいことこの上ないですね。

ましてや、老舗企業でありながら未だ創業者一族が社長をやっているような企業はもはや終わってますね。

誰も異議を唱えられないですから。

その人物が何か重大な判断ミスを犯した場合、修正することが長期化することは間違いなしです。

外部から経営者を招聘するパターン

その一方、日本の大企業で稀にですが、外部から経営者を招聘するパターンがあります。

その代表が、カルビーの松本会長兼CEOです。

外部から招聘された経営者の場合、別の会社の企業風土も知っているので大胆な経営改革も断行でき、また、その企業の出身でもないため先輩後輩といった私情を挟む余地もありません。

カルビーの松本会長は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの経営トップを15年間務められ、その手腕を活かしてカルビーを就任以来増収増益へと導いています。

日産のゴーン会長も典型的な例ですよね。

ゴーン会長は、1999年3月、ルノーの上席副社長のポジションから当時経営危機に瀕していた日産に移られました。

経営危機を脱出したことはもちろんのこと、電気自動車の将来性にいち早く着目され、今や日産は、アメリカのテスラとともに、世界を代表する電気自動車(EV)メーカーとなっています。

世界のエコカー市場がEV化の方向に向かっていることは、もはや誰の目にも明らかです。

このように、極めて有能な経営者が外部から招聘され、増収増益へと導いたり、経営危機を脱したりすることがありますが、日本においてはこのようなケースは稀です。

また、例え有能な経営者が経営にあたっても、30年以上もの長きに渡って経営の第一線で活躍することはあり得ません。

このように、30年以上も一つの企業が安定的に存在することはあり得ないことなのです。

日刊SPAで例示されている5年以内に危ない企業

日刊SPAでは、5年以内に危ない企業として3つを挙げていました。

ひとつひとつ検証していきます。

Nikon:

2016年11月に1000人のリストラを発表。

2017年3月期の最終損益が90億円の赤字となりました。

2006年にデジタルカメラ市場に経営資源を集中しましたが、これがかえって仇となりましたね。

一部のマニアを別として、スマホで代用できるハードウェアをわざわざ購入する必要性を全く感じません。

この会社の売りはいったい何なのでしょうか。

任天堂:

デジカメと同じくゲーム市場においても、スマホで代用できるハードウェアをわざわざ購入する必要性を全く感じません。

ファミリーコンピュータを世にリリースしたときの衝撃は凄まじいものがありましたが、それこそ日刊SPAのサブタイトルの通り、黄金時代の幻影です。

よほど何か新しいことを打ち出さない限り存続は難しいでしょう。

神戸製鋼:

2017年3月期の営業利益が前年比93%減の50億円。

筆者は、これが一番驚きの数字でした。

グローバル経済の下、中国1国に経営資源を集中した結果が招いた経営者の判断ミスです。

海外に投資するなら、中国任せにせずなぜ多くの国に経営資源を分散しなかったのでしょうか。

先述の、デジカメやゲーム機などは技術進展によってもはや必要でなくなりましたが、さすがに鉄や鋼材は当面の間必要だと思います。

しかしながら、経営判断を誤ると、このような結果を招くのです。

神戸製鋼は多方面で高い技術を有する企業です。

一刻も早く、経営体制を見直す必要があると思います。

まとめ

 このように、名だたる大企業が現在危機的な状況にあります。

危機を脱出するかもしれませんし、そのまま東芝のように解体するか、シャープのように外国資本に身売りするか、あるいは、倒産してしまうこともあり得ます。

大企業正社員として入社しても38年間安定的に勤められる保証などどこにもないのです。

もし、「安定」をそう捉えているのなら、実際に勤務し始めたときに理想と現実とのギャップに直面することでしょう。

 「安定」とは、一つの会社に38年間しがみつくことではありません。

 

本当の「安定」とは、別の会社でも、自信を持って発揮できる専門性を身に付けることなのです。