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カルビー松本会長の名言から日本型雇用の問題点を読み解く

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日本にもまだホワイト企業と言える企業が存在した

 今や、最高裁判所=黒い巨塔と言われるくらい日本総ブラック化の様相を呈しています。 

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 このように、日本でホワイト企業を探すのが困難な中、筆者がホワイト企業だと思える企業がありました。カルビーです。カルビーの松本会長は、2009年に代表取締役会長兼CEOに就任以来、同社を7期連続の増収増益に導いています。今や日本を代表する経営者と言っても過言ではないと思います。カルビーの松本会長のことを調べていると、どうしてこのようにカルビーが大躍進を遂げたのか経営哲学から学ぶことができます。そこで今回は、カルビーの松本晃会長の名言集から、今の日本企業の持つ問題点について考えてみたいと思います。下記引用部分はカルビー松本会長の名言です。

カルビー松本会長の名言1

僕は「人材育成」という言葉が嫌いで、人は自分で育つものだというのが持論です。

 高度成長期から1980年代に至るまで、企業が人材育成に強力に関与していました。当時、企業は長期的な視野に立って、OJTを通じ職業能力の発展を図るというのが一般的でした。このような方式は、企業の安定成長が見込まれたころまでは好循環に回りましたが、バブル崩壊を機に状況が一変します。企業が長期的視野に立って人材育成するインセンティブを失ったのです。

 そもそも企業は教育機関ではありません。本来職業訓練を施すべきは教育機関です。これまでにそれが、ちゃんと機能してこなかったことのほうがはるかに問題なのです。

カルビー松本会長の名言2

残業なんてやめろと言っているんです。残業よりも、その時間を自分が成長するために使うべきです。

 カルビーでは、長時間労働の問題がなさそうですね。それで増収増益ということは、長時間労働をせずとも高い労働生産性を維持できることの証左です。人材育成との関連で言えば、残業をしないことで空いた時間を自分自身への投資に使えと松本会長は言っています。松本会長は次のように言葉を続けます。

カルビー松本会長の名言3

残業代を払うことなんて、会社にとってこれっぽっちも痛くありません。でも、そんなことにお金を使うより、社員が成長するための投資に使いたい。

 カルビーでは、残業代はちゃんと支払われているようですね。しかし、所定労働時間にみっちり仕事をして早々に仕事を切り上げ、残りの時間を自分の成長への投資に使えと言っているのです。そのためだったら、会社は補助をしたりして環境を整えるとも。筆者がカルビーをホワイト企業だと思った一番の所以がここにあります。

カルビー松本会長の名言4

日本企業全体が成果主義にならないのかというと、それは政治や労働慣行の問題が大きい。終身雇用、年功序列、残業手当、定年という21世紀にふさわしくない労働慣行が残ったままです。この状況でグローバルで戦っていくのはしんどいですよ。こんなことをやっていると日本はいつまでたってもよくなりません。

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 ここが核心ですね。終身雇用を前提とする企業内訓練や残業による企業内雇用調整は時代に合わないと言っているんです。終身雇用制は、大企業の正社員・中小企業の正社員・非正規社員・学生の誰のためにもならないと述べました。

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 日本を代表する経営者である松本会長も終身雇用制をはじめとする古い雇用慣行を批判しています。

最近書類送検されている企業における古臭い実情

 翻って最近労働局や労基署から書類送検されている企業はどうでしょうか。

  • やたら拘束時間が長く労働生産性も上がらない。
  • 顧客からも見放され産業として斜陽化している。
  • まともに残業代も支払われない。
  • 会社に居て指揮命令下にあるにもかかわらず、「自己啓発」のために会社にいたとして労働時間を過少申告させる。
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  • 36協定違反を逃れようとするが、捜査当局もプロなので容易に見破って立件する。
  • そして、さらに顧客から見放される。

 この悪循環の繰り返しです。欧米の模倣品を安く大量生産するだけで経済が循環していたのは半世紀以上前の高度経済成長期で、もはや無尽蔵の労働投入によって経済を活性化させることはできません。いち早く日本型雇用から脱却するのが得策でしょう。

と、記事を書いているうちに、ポテトチップスが食べたくなりました。