Mesoscopic Systems

働くルールを理解してこれからの働き方について考えよう!

ブラック企業の問題が一向に解決しないのはなぜか?

 

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今まで、電通・東京電力・三菱電機と過酷な長時間労働の事例を3つ紹介しました。 

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では、随分前から社会問題になっているにもかかわらず、ブラック企業の問題が後を絶たないのはなぜでしょうか。 

入社前にブラック企業であるかどうかを予見することは難しい

マイナビの人気企業ランキングでは?

昨年末、電通がブラック企業大賞を受賞しました。

 一方、電通は毎年就職企業人気ランキングに名を連ねています。

マイナビの調査による文系総合ランキングでは2012・2013年4位、2014年5位、2015年6位、2016年8位となっています。(参照元:株式会社マイナビホームページ)

高橋まつりさんの労災が認められた昨年ですらベストテン以内にランクインしています。

ただし、マイナビによるランキングの発表は昨年5月、高橋さんの労災認定は昨年9月のことですので、今年は相当ランクを落としてくるでしょう。

このように昨年電通は、人気企業にランクインすると同時にブラック企業大賞も受賞するという食い違いが生じていたのです。

就活生は予測できたか?

では、就活生が電通の就労実態を予測することは不可能だったのでしょうか。

方法としては社員に直接ヒアリングを行うことが考えられたでしょう。

しかし、社員が就活生に違法な労働環境の現状を正直に話すのはなかなか難しいのかもしれません。あるいは、そのことに気付かない社員もいたのかもしれません。

高橋まつりさんの場合、長時間労働による苦しい胸の内をツイッターで吐露していたようですが、上司が行っていたことの違法性まで彼女が認識していたかどうかはわかりません。

一方、退職した人を探して聞き取りを行うことはどうでしょうか。

確かに有効な手段ではありますが、そもそも就活の段階でそういう人にアクセスすること自体がなかなか難しそうです。

報道で予測できたか?

では、報道はどうでしょうか。

一部スクープ記事を除いて、発表報道に依拠する報道では行政が何らかのアクションを行わないとなかなか報道されません。

事実、高橋まつりさんの場合、労働基準監督署が労災認定して初めて一連の問題が明るみになりました。

また、マスコミによる一連の報道も労働基準監督署による送検事例の氷山の一角に過ぎません。

是正勧告事例まで含めればさらに膨大な数に上ると思われます。

しかし、是正勧告の段階では通常企業名は公表されませんのでどの企業が法令違反を行ったのかわかりません。

 以上のように、ブラック企業かどうかを入社前に判断することは極めて困難なのです。

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この予見困難性がブラック企業の問題を複雑化している一つの要因なのです。

労働基準監督官は圧倒的に足りない

では、ブラック企業を取り締まる側はどうでしょうか。

労働基準法違反や労働安全衛生法違反や最低賃金法違反など全国各地の労働基準監督署で頻繁に送検事例が発生しています。

例えば、平成26年中の送検事例は1036件で、そのうちの約40%の400件が労働基準法違反によるものです(平成26年労働基準監督年報)。

1日1件以上の送検手続が全国どこかの労働基準監督署で行われている計算になります。

また、監督官一人当たりの雇用者数は、東京・千葉・埼玉・神奈川の首都圏全てで2万人を超えています。これで、行政による監視の眼が行き届かないのは当然のことですよね。

また、全国的に見ても、2県を除くすべての都道府県で国際的標準である1万人を超えています。

こういった不十分な監督体制がブラック企業の問題を複雑化するもう一つの要因となっているのです。

行政による監督体制とは何か?

 では、労働の分野において行政による監督体制とはいったい何のことを指すのでしょうか。

皆さんも、自動車の運転をされる方が多くいることと思います。

実はこの監督体制を交通分野に例えると非常にわかりやすいのです。

 ブラック企業に就職してしまうことは一つの事故に例えられます。

そもそもブラック企業とは労働法を遵守していない企業のことを指します。

交通事情で例えれば、道路交通法無視の暴走車のことです。

交通分野で取り締まりを行うのは警察官ですが、労働分野で取り締まりを行うのは労働基準監督官です。

実際、司法警察官の身分を有し逮捕特権も持っています。

 「働く人の労働が最低基準を満たしているか」、「ちゃんと安全が確保されているか」について労働基準監督官が監督しているのです。

労働基準法102条

労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法 に規定する司法警察官の職務を行う。  

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私たちひとりひとりがブラック企業から身を守ることが必要

これまで行政による目が行き届かないことを背景にブラック企業は増殖を繰り返してきました。

我々が働く上で特に重要な法律が労働基準法です。

労働基準法は、労働者が人間らしい生活を営むための最低基準だからです。

その最低基準の解釈を捻じ曲げ、無理な労働を強いたり私腹を肥やすのがブラック企業なのです。 

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 もし間違ってブラック企業に入ってしまったら一刻も早く退職することが肝要です。

これにより、被害を最小限に食い止めることができます。

ブラック企業に長く留まって心身が疲弊してしまったら、何の意味もないからです。 

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そのため、勤務する会社がブラック企業かどうか判断基準を持つことが何よりも大切なのです。

その判断において、一役買っているのが労働基準法なのです。